2007 Fiscal Year Annual Research Report
腐食ひび割れ幅に基づく鉄筋腐食したRC梁部材の残存耐力と破壊性状評価モデルの構築
Project/Area Number |
18560454
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大下 英吉 Chuo University, 理工学部, 教授 (40253108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 廣和 中央大学, 総合政策学部, 教授 (80256023)
石川 靖晃 名城大学, 理工学部, 准教授 (00257651)
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Keywords | 残存耐力 / 鉄筋腐食 / 腐食ひび割れ / 付着応力 / 定着性能 / 構造性能 / 曲げ耐力 / せん断耐力 |
Research Abstract |
本研究の目的は,既存コンクリート構造物の腐食ひび割れ幅,腐食ひび割れ発生領域,腐食ひび割れ先端位置等に代表されるコンクリートの腐食ひび割れ性状から構造細目や構造形式に応じた残存耐力を推定可能なモデルの構築であり,本年度は昨年度の結果を踏まえて,(1)他の形状寸法を有する試験体に対する残存耐力評価,(2)主鉄筋の腐食率の不均一性と残存耐力の定量的評価,(3)腐食鉄筋とコンクリートの付着モデルの拡張および鉄筋腐食したRC梁部材の非線形変形挙動解析手法の改良と拡張である。以下に,本年度の研究により得られた主たる成果を示す。 1.今年度の対象としたRC梁試験体は昨年度に比べて有効高さを100mm大きくしたせん断スパン比2.79(昨年度4.53)を有するものである。曲げ破壊を呈する場合,主鉄筋の腐食による材料劣化が残存耐力に影響を及ぼす主要因でありせん断スパン比はほとんど影響しない。すなわち,曲げ理論に主鉄筋の平均腐食率ならびに腐食の不均一性(偏差率)を導入することにより,統一的に残存耐力の評価が可能である。 2.上記1.においてせん断破壊(鉄筋腐食により破壊モードが曲げからせん断に移行)を呈する場合,主鉄筋の平均腐食率に伴う耐力の低下割合は昨年度の試験体の形状寸法に比べて今年度の方が小さくなり,形状寸法およびせん断スパン比は鉄筋の腐食に伴うせん断耐力性状に大きな影響を及ぼす。 3.上記2.の主たる原因は鉄筋腐食に伴う定着性能の劣化であり,その劣化程度は定着領域の最大付着応力で表すことができる。すなわち,せん断耐力と最大付着応力には相関関係があり,その相関性は試験体の形状寸法やせん断スパン比によらず一義的に表すことが可能である。 4.付着強度試験結果よりエネルギー的観点に基づき,鉄筋腐食率,腐食ひび割れ幅,腐食ひび割れ性状を統一的に加味することのできる付着モデルの拡張が行われた。
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