2008 Fiscal Year Annual Research Report
地盤の不整形性が堆積層の非線形地震応答に与える影響とそれに基づく実地震被害の検討
Project/Area Number |
18560463
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
茂木 秀則 Saitama University, 理工学研究科, 准教授 (80261882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 英二 埼玉大学, 地圏科学研究センター, 教授 (50125887)
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Keywords | 非線形応答 / 地盤ひずみ / 地震被害 / 経時変化 |
Research Abstract |
本年度は大きな地震被害を生じた2007年中越沖地震における柏崎-刈羽原子力発電所の地震記録に加え,2008年岩手・宮城内陸地震における防災科学技術研究所KiK-net-関西,KiK-net-関東観測点の鉛直アレー観測記録を用いて,本震時と本震後の地盤の非線形性状について検討した.解析は川上らによるNIOM法を用い,余震と本震以前の地震に対しては,それぞれの主要動部についてS波速度を推定した.一方,本震記録においては時間ウィンドウを移動させながらS波の初動からコーダ部まで連続的に解析を行い,S波の伝播時間の変化を求め,時間ウィンドウごとの地震動強度との関連で論じた.これらの検討の結果,柏崎-刈羽原子力発電所ならびに-関西における観測点の結果から,(1)本震主要動において,強震動に起因する地盤の非線形化によって,S波の伝播速度が大きく低下したこと,(2)上記の伝播速度の低下は,勇断剛性率が初期剛性の30〜40%程度まで低下したことに相当し,このときの最大勇断歪は0.1%以上に達するものと推定されること,(3)本震コーダ部や本震直後の余震の解析から,本震直後のS波の伝播速度が本震以前の伝播時間よりも小さい値を示し,緩やかに増加する傾向が見られるものの,本震かう6ヶ月程度経過した時点においても完全は回復していないこと,(4)柏崎-刈羽原子力発電所の地震記録の解析結果においては,水平2成分間でS波速度の異方性が見られること,などを指摘した.
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