Research Abstract |
本年度は主に2つの研究を実施した。第一に、2種類のケーブル試験体を用いて,腐食している橋梁ケーブルの6種類の補修方法について研究した.19本平行線ケーブルを用いた腐食促進試験によれば,補修を施した試験体の外層鋼線の腐食量は無防食試験体より小さかった.また,内層鋼線の腐食減量は外層鋼線より著しく小さく,その中でもエポキシ樹脂を充填したものと除湿したものが特に小さかった.一方,7本より線ケーブルを用いた腐食促進試験によれば,新品のより線ケーブルは4ヶ月の腐食促進試験により約2.2%減面し,無防食試験体はその後も腐食はさらに進行した.しかし,補修を行った試験体は,腐食の進行が防止された.したがって,腐食したケーブルであっても適切に補修すれば長寿命化が可能であることが見出した. 次に,腐食孔を模倣した試験体を用いて疲労試験を行い,腐食孔の大きさと疲労強度との関係を把握した.供試材はφ5mmの亜鉛めっき鋼線とし,中央に腐食孔(深さ0.6mm,幅3mm,6mm,10mmの3つ)を設けた.腐食孔の形状は,丸形,角形,そして角の谷部にダイアモンドやすりでノッチをつけたものの3種類とした.実験結果より,0.6mm深さの腐食孔においては,腐食孔の幅が小さくなるに従い,少ない回数で破断することがわかった.これは,腐食孔の幅が減少することで応力が集中しやすくなるためと考えられる.また,腐食幅が10mmの時にはノッチをつけることにより破断回数が箸しく減少するが,腐食孔の幅が3.5mnの時には,さほど大きい差として現れなかった.これは,腐食孔の形状による応力集中が大きくなり,ノッチによる応力集中が支配的でなくなるためと考えられる.
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