2008 Fiscal Year Annual Research Report
暴露サンプルを用いた防食塗膜の劣化モニタリング法の開発研究
Project/Area Number |
18560471
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
川上 哲太朗 Tokai University, 海洋学部, 教授 (40204680)
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Keywords | 非破壊評価 / 維持管理手法 / 暴露サンプル評価 / 低周波振動 / 動的応答特性 / 波動伝播特性 / 鋼製海洋構造物 / 防食塗膜 |
Research Abstract |
本研究では鋼製海洋・海岸構造物の劣化評価の内,特に塗膜された鋼材の防食効果を効率的に評価するために,実際の鋼構造物の各所に暴露サンプルを設置し,その暴露サンプルの劣化評価より構造物全体の劣化モニタリングを行うことを考えた.この暴露サンプルによる劣化モニタリング法では,特に,暴露サンプルの効率的かつ簡便的劣化評価手法の開発が重要な課題となる。そこで,本研究では一般的に行われている超音波探傷法などに変わる手法として,取扱いが簡単で計測結果の解釈が容易な比較的低周波の波動伝播特性より,暴露サンプルの劣化評価を行なうことを考え,その基礎的研究を行ったものである. 平成20年度の研究においては,平成18,19年度に実施してきた,防食塗膜下に劣化部を有する暴露サンプルモデルを用いた模型実験をさらに進展させ,(1)防食塗膜下の劣化部代表寸法と動的応答特性の関係,(2)防食塗膜下の劣化部の劣化深度と動的応答特性の関係,(3)広範囲な動的応答特性分布の計測による防食塗膜下劣化部の可視化,以上の点に着目した新たな計測実験を行い,防食塗膜下の劣化と暴露サンプルの動的応答特性との相関をより明らかにすることを試みた.本年度の研究成果として(1)暴露サンプルの波動伝播特性の内,波動の振幅比分布を捉えることにより,劣化部の代表寸法を同定することが可能であることが明らかとなった。(2)防食塗膜下の劣化部の損傷度(劣化深さ等)が大きいほど,波動の振幅比が小さくなる傾向があることが明らかとなり,劣化損傷度の同定に有用な知見が得られた.(3)広範囲な波動振幅比分布と,数値シュミレーションにより得られた波動伝播特性とはよく一致しており,理論的及び実験的にも本研究で提案した劣化部検知手法の有用性が確認された.
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