2007 Fiscal Year Annual Research Report
溶接継手部に発生した疲労き裂のCFRP板による補修
Project/Area Number |
18560474
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
鈴木 博之 Meisei University, 理工学部, 教授 (20135750)
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Keywords | 疲労 / CFRP板 / 溶接継手 / 補修 |
Research Abstract |
本研究の目的は,鋼構造物の供用中に溶接継手部に発生した疲労き裂をCFRP(炭素繊維強化樹脂)板で補修するととによって,この疲労き裂の進展を遅らせる,あるいは,進展を停止させることの可能性について実験的に調査することであった。 そのため,平成18年度には,面外ガセットを溶接取り付けされた桁高800mm,支間6,000mmのI形断面の桁を用いた疲労試験を行った平成19年度は小型の面外ガセット溶接継手試験片を用いた疲労試験を行い,大型試験体のデータを補うこととした。 平成19年度の主な成果は以下のとおりである。 (1)小型試験片では,疲労き裂の先端にCFRP板を貼付する補修を行うとCFRP板は選もなく剥離してしまい効果がなかったが,面外ガセットの溶接ビードに密着するように,CFRP板の中央部に矩形の切り込みを入れて貼付する補修方法は,疲労き裂発生後の補修に効果があった。 (2)CFRHP板の中央部に矩形の切り込みを入れて貼付する補修方法においては,CFRP板の積層数が増えるほど,余寿命が大幅に改善され,積層数を5層とすれば十分な補修効果が得られることが確かめられた。 (3)CFRP板の積層化は,剥離防止に対しても有効であること,また,き裂開口部の中心付近で荷重が伝達されるため,軸方向力の負担に対しても効果的であることがわかった。 (4)対象とした応力範囲からは疲労限は得られなかった。したがって,き裂の再発生を防止するまでには至らないため,CFRP板の中央部に矩形の切り込みを入れて貼付する補修方法は,延命化のための応急的な対策として位置づけられた。しかしながら,CFRP板の大きさの影響も考えられるので,この点については今後さらに調査する必要がある。また,CFRP板とストップホールを併用した補修についても今後調査しなければならない。
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