2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560492
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
重松 宏明 Ishikawa National College of Technology, 准教授 (90353268)
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Keywords | 酸性硫酸塩土 / 消石灰 / 一軸圧縮試験 / エトリンガイト |
Research Abstract |
酸性硫酸塩土(Acids sulfate soil)は一旦大気に曝されると,その直後から土中の黄鉄鉱(Pyrite,FeS2)と水・酸素が反応して硫酸を生成する.その結果,地盤は強い酸性を有するようになり,様々な地盤工学的問題を引き起こす原因になる.このような土が建設工事において排出された場合,何らかの方法で適正に処理されなければならない.また一方で,酸性硫酸塩土は強酸性(pH=3未満)に至った後,石膏(Gypsum,CaSO4・2H20)などの硫酸塩が生成されることで知られる.今年度の研究では,石膏析出後の酸性硫酸塩土に,消石灰を異なる混合率で混ぜ合わせ,一軸圧縮試験を所定の養生日数ごとで実施した.また,実験に用いた供試体について示差熱分析(Differential Thermal Analysis, DTA)と走査型電子顕微鏡観察(Scanning Electron Microscope, SEM)を行った.以下に,これら室内試験から得られた知見を述べる. 1.石灰安定処理を施した酸性硫酸塩土のpH変化より,消石灰の混合率5%は石灰飽和点に達していない状態,混合率10%においては石灰飽和状態もしくはそれを超えた状態にあると推測できる. 2.石灰安定処理を施した酸性硫酸塩土の強度特性は,混合率0%では強度の経時変化はほとんどみられず,混合率5%では養生初期において強度の増加がみられるが,それ以降は収束する.混合率10%と15%については,養生日数に伴い一軸圧縮強度は著しく増加し,両者の間に大きな強度差はない.このことから,酸性硫酸塩土の安定材として消石灰を適用する限りにおいては,混合率10〜15%が妥当であると思われる. 3.酸性硫酸塩土に石灰を混ぜ合わせると,エトリンガイトと呼ばれる水和物が生成され,土の強度は著しく増加した.また石灰混合率によって,エトリンガイトの生成量のみならず形状も大きく変化した.本研究の一連の室内試験の結果をみる限りにおいては,間隙の奥深くまで伸びきった長針状のエトリンガイトが土の安定化に最も大きく寄与していることがわかった.
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Research Products
(1 results)