2007 Fiscal Year Annual Research Report
海洋観測レーダと波浪推算による高度波浪情報システムに関する研究
Project/Area Number |
18560496
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 智尚 Gifu University, 大学院・工学研究科, 教授 (50205473)
|
Keywords | 海洋観測レーダ / Xバンドレーダ / 波浪推算モデル / 汀線変化 / 海底地形 |
Research Abstract |
本研究では,海洋観測Xバンドレーダと波浪推算モデルの両者の長所を相乗的に組み合わせることにより,海岸環境情報をより高度に整備する手法の開発を目的としている. Xバンドレーダは映像レーダであり,海洋波浪の方向スペクトルや海洋表層流をリモートセンシング的に計測できるほか,対象沿岸域の様子を画像として取得できる.一方波浪推算モデルは広域の波浪情報を再現することが可能である.このうち,本研究ではまず海洋観測レーダによって取得された沿岸域の画像から汀線の時系列変化を捕らえ,波浪推算モデルによって再現された海象状態と関連づけた.さらに新たに浅海域での海底地形を推定する手法を新たに提案し,対象域の海底地形やその時系列変化を捕らえるとともに,波浪推算された海象状態との関係についても議論した. 対象とした海域は,京都大学防災研究所所属大潟波浪観測所周辺の海域である.解析対象期間は2003年から2005年冬季とした.海洋観測レーダにより汀線変化を常時観測し,その時系列変化を捕らえた.その結果,数力所で期間中に汀線位置に明確な変化が見られた.そしてその時期は波浪推算モデルにより顕著な高波浪イベントが生じていたこと,さらに護岸工事記録より実際に被災していることが確認された.これによりXバンドレーダは汀線変化観測システムとしても有効であることが確認できた. また浅海域海底地形解析では,Xバンドレーダによって得られた連続画像に分散関係式を適用して各点での水深を推定し,海底地形やその変化を再現する手法を開発した.対象海域での推定海底地形は従来計測結果を再現しており妥当であった.さらにレーダで長期間での地形変化も捕らえた.この結果と波浪推算モデルによって再現された海象状態とを組み合わせることにより,漂砂特性の解析などに有効な,総合的な情報を提供できるシステムを構築した。
|
Research Products
(2 results)