2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560499
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川西 澄 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40144878)
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Keywords | 浮遊土砂 / 干潟 / 河川感潮域 / ADCP / 密度成層 |
Research Abstract |
本年度は浮遊土砂輸送過程の全体像を明らかにするため,多点同時観測とデータ解析を行った.実施した研究により浮遊土砂輸送のメカニズムが解明された意義は非常に大きい. 1.河口からの距離による浮遊土砂輸送特性の違いを調べるため,河口から2.8km(Ata.A),4.8km(Sta.B),6.0km上流(Sta.C)の水路中央付近にADCPを埋設し,流速と浮遊土砂濃度の鉛直分布を約1ヶ月間にわたり連続測定した.この観測は夏季と冬季に実施した.観測結果を解析した結果, Tidal strainingによる密度成層強度の周期的な変動が上げ潮と下げ潮流の流速分布の非対称性を生み出し,潮流による上流方向への浮遊土砂輸送を引き起こす主なメカニズムであること,また下流方向への風が上流方向への浮遊土砂輸送を助長させること,輸送量は上流に向かって減少していることが分かった. 2.河岸沿いに発達している干潟の形成メカニズムを明らかにする目的で,浮遊土砂輸送の横断方向分布を観測した.観測は水路直線部の両岸沿いの干潟と水路中央部にADCPを埋設し,流速と浮遊土砂濃度の鉛直分布を約1ヶ月間にわたり連続測定した.その結果,上げ潮初期に中央部で巻き上げられた堆積物が,干満にともなって発生する河岸方向の流れにより干潟上に輸送されて堆積することが明らかになった.干潟上の流れは微弱であり,干潟堆積物の巻き上げはほとんど観測されなかった.
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