2006 Fiscal Year Annual Research Report
大気-海洋間における二酸化炭素交換速度の推定法に関するフィールド実証研究
Project/Area Number |
18560501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉原 裕司 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助教授 (70243970)
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Keywords | 気体交換 / 二酸化炭素 / 物質輸送 / 風波 / 砕波 / うねり / 大気海洋相互作用 / 海面境界過程 |
Research Abstract |
本年度は,大気-海洋間における二酸化炭素交換速度の波浪依存性を検討するためにフィールド観測を実施した.観測は,和歌山県西牟婁郡白浜町田辺湾沖合2kmに位置する田辺中島高潮観測塔において行われた.超音波風速温度計とOpen path型非分散赤外線ガス分析計(NDIR)を用いて風速変動,温度変動,水蒸気濃度変動,CO_2濃度変動を測定し,Webb補正を施した渦相関法からCO_2フラックスを算定した.本研究では,海水中の溶存CO_2濃度の自動モニタリングを行うために,中空糸膜モジュールから成る気液平衡器を新たに製作した.WAVEADCPの波浪データから算定された波の方向スペクトルに基づいて波浪場がどのような風波成分波とうねり成分波から構成されているのかを詳細に検討した.その結果,観測期間中の海象条件は,風波が卓越する波浪場(Pure windsea),うねりが卓越する波浪場(Swell-dominated sea),風波とうねりの伝播方向の偏角が±45°〜135°にある波浪場(Cross swell)の3つのグループに分類された.うねりの条件を指標として気体交換速度と海上風速の関係を調べた結果,うねりを含むデータはPure windseaと比較して相対的にばらつきが大きく,特にCross swellの状態が交換速度に及ぼす影響が最も大きいことがわかった.さらに,摩擦速度で無次元化された無次元気体交換速度と無次元波浪エネルギー散逸率の関係についても検討した.風速に対してプロットした場合はデータの分散の度合いがうねりの条件に依存性していたが,砕波エネルギー散逸率を用いた際にはそのような傾向はほとんど見られないことが明らかとなった.このことは,交換速度の普遍表示を行う上で,波浪エネルギー散逸率のような砕波特性量を用いることが重要であることを意味している.
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Research Products
(5 results)