2006 Fiscal Year Annual Research Report
水田貯留による雨水の流出抑制効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
18560504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
原田 守博 名城大学, 理工学部, 教授 (40165030)
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Keywords | 水田貯留 / 流出抑制 / 雨水貯留浸透施設 / 流域の都市化 / 洪水調節 |
Research Abstract |
流域の都市化に伴う雨水流出特性の変化によって、流域下流において洪水氾濫や溢水による被害が増加している。こうした流出特性の変化に対処するため、河川改修に加え、流域における雨水の流出抑制施設の整備が進められているが、施設の建設には莫大なコストがかかり、建設適地も限られているのが実情である。そこで本研究では、都市近郊に残留する水田を低コストで実現が可能な流出抑制施設として捉え、水田の雨水貯留機能を高める工夫を提案するとともに、大規模な現地実験を通して河川への流出抑制効果を検証することを目的として、現地実験に基づいて実証的な検討を行なった。 本研究では、水田の落水口に切欠きをもった堰板を挿入することにより、水田から農業排水路への流量を制限し、水田に降った雨水を貯留して河川への流出を遅らせる手法の有用性を採用した。この手法の流出抑制効果を評価するため、愛知県新川流域に位置する大口町役場の協力のもと、面積約8.2haの水田30面を実験区域に設定した。この区域の稲作田と休耕田合わせて6面において、降雨に伴う田面の水位変動を計測し、農業排水路での流出状況も測定した。得られたデータを用いて水田における貯留排水過程の水理モデルを構築し、水田貯留の水理特性を明らかにすることを試みた。 平成18年度における主な研究成果は次の通りである。 1.雨天時における水田群での貯留排水過程を観測によって明らかにし、水田貯留の水理モデルを構築した。モデルパラメータである落水口の流量係数はC=1.90程度であった。また、降雨中の損失強度は水田の水深に支配され、降雨後の損失強度はこれに蒸発散量を加えたものと推察される。 2.各水田の落水口に切り欠き板を挿入することにより、水田1筆ごとの雨水の流出抑制効果を実証的に評価した。中央集中型の仮想降雨のもとでは、落水口に切欠き板を設置することによって、ピーク流出量を半分以下に抑制できることが分かった。
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Research Products
(6 results)