2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560507
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
石川 雅朗 Kisarazu National College of Technology, 環境都市工学科, 准教授 (30232268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 正喜 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (40042650)
東海 正 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (30237044)
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Keywords | 魚道 / ウグイ / 遡上行動 / 流れ場 / 向流性 / バーチカルスロット / 魚群行動 / 個体ベース魚群行動モデル |
Research Abstract |
ダムや堰など河川構造物の建設により回遊魚の遡上・降下が阻害され魚資源が減少する.こうした資源量の減少を防ぐためにダムや堰などに魚道を設置して回遊魚の遡上・降下の経路を確保している.現状の魚道設計は研究者や技術者の経験的な知見に基づいて行われており,理論的に裏付けされた設計方法は未だ確立されていない.本研究の目的は,個体ベース魚群行動モデルを適用した客観的な魚道の評価・設計方法の構築である. 平成19年度は,観察領域を0.80m×5.40mと縦長の水路形状に拡張して,室内観察実験を行い,ウグイ魚群の遡上,降下の行動特性について検討した.魚群遡上行動の観察記録から,遡上に要した時間(到達時間),エネルギー消費量などを算定した.前年度に構築した魚群行動モデルと同じ条件をパラメータ値を用いて,魚群の遡上行動について計算シミュレーションを行い,モデルの妥当性や精度について検討した.その結果,実魚の遡上行動に比べ,計算シミュレーションでは,到達時間が3倍以上になり消費エネルギー率も大きく,実現象を再現することができなった. 一方,三次元の魚群行動観察実験結果の分析も並行して行った.三次元観察実験においても遮水ユニットを配置して,流れの速い瀬を模した部分と,流れが緩やかで循環流の発生する淵を模した領域を設定した.瀬における毎時刻の水平方向の魚の動きは後戻りすることがほとんどないのに対して,淵の部分では下流方向にも回数多く移動していることを確認した. 個体相互作用モデルと交流性モデルを組み合わせた,現行の個体ベース魚群行動モデルでは,その場の流れに対してどちらのモデルを優先させることのないアルゴリズムを採用している.しかし,観察実験結果を吟味すると,流れの速い領域では向流性モデルを卓越させる必要があることが確認された.
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