2006 Fiscal Year Annual Research Report
金融決済方法を考慮した交通管理政策の経済効果に関する研究
Project/Area Number |
18560520
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 潔司 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (50115846)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 格也 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60303848)
大西 正光 京都大学, 工学研究科, 助手 (10402968)
|
Keywords | 交通管理政策 / 金融決済 / 情報クラブ / ディマンドチェーン / リアルオプション / ETC / IC決済 / 取引費用 |
Research Abstract |
平成18年度は、交通料金の決済方法の高度化が個人の交通行動、企業行動に及ぼす影響を分析するための行動モデルを定式化するとともに、これらの経済主体の行動を一般均衡モデルとして総合化し、交通カード等の情報クラブの形成が社会的厚生に及ぼす影響を総合的に分析するため、以下の具体的な研究テーマを実施した。 (1)交通料金の決済方法の高度化の経済効果に関する研究(取引費用の削減効果、価格体系の多様化効果に関する分析) ETCや新しいIC決済サービスの普及に伴い、近年、道路交通の利用料金や公共交通の運賃の収集方法に様々なバリエーションが生じている.各種交通料金決済の方法が個人・企業の行動に及ぼす影響を分析するとともに、市場均衡モデルを用いて交通料金決済方法と社会的厚生の関係に関する分析を実施した。 (2)交通料金決済のための情報クラブ形成に関する研究(情報費用の低減効果に関する研究) 各種の交通カードの発行や地域カードと交通カードのバンドリングを個人、企業、金融機関が情報企業(クレジット会社)を仲介とした情報クラブを形成する現象とみなし、行動原理が異なる顧客と企業により構成される情報クラブの組織構造が、リアルオプションの相互保有構造として表現することができることを指摘した。 (3)ディマンドチェーン形成に関する研究(ディマンドチェーン効果に関する研究) 交通カードと地域カードのバンドリングは、ある特定の時空間の範囲内における顧客の消費行動に対して時空間を限定した情報クラブを形成するという機能を有している。一連の消費行動、交通行動(ディマンドチェーンと呼ぶ)において、情報クラブが消費者による探索範囲の限定効果を有することに着目し、ディマンドチェーンの基本構造に関する理論的な分析枠組みを提案した。
|