2007 Fiscal Year Annual Research Report
組織内の意思決定構造を考慮した建設契約の紛争解決プロセスに関する研究
Project/Area Number |
18560521
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大本 俊彦 Kyoto University, 経営学研究科, 教授 (10422990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 正光 京都大学, 工学研究科, 助教 (10402968)
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Keywords | 建設契約 / 紛争解決 / 組織 / 意思決定 / ガバナンス / リスク |
Research Abstract |
平成18年度で構築した、紛争解決プロセスにおける組織的意思決定構造モデルに基づいて、紛争当事者間の和解交渉モデルの定式化を行った。大本・小林・大西(2001)による個人間での和解交渉プロセスをRubinstein型の交渉ゲームモデルを基礎とした和解交渉モデルの紛争当事者が組織的意思決定原理を有する個人として捉えたときに、和解交渉プロセスのモデルがどのように影響を受けるかを分析した。 また、国内における建設契約に関して、発注者が官である場合と民である場合では、組織的意思決定構造が異なるために、その紛争解決プロセスに相違が生じると考えられる。官及び民の組織的意思決定構造の違いを明確に定義した上で、組織的意思決定構造を考慮した和解交渉モデルを用いて、均衡解の相違を分析した。さらに,わが国における大手建設企業へのアンケート調査を実施した結果から,売上規模及び長期的関係をどれだけ企業が重視しているかに応じて紛争解決過程が影響を受けることを指摘した.このような組織的意思決定構造及び近年の建設市場における長期的関係性が必ずしも成立しない環境では,いったん紛争に至ってしまうと紛争に係るコストや時間がかかってしまうことから、クレームや紛争に発展する前に、予防することが重要であることを指摘した。海外工事での契約約款であるFIDICでは、中立公正な第三者の立場として、エンジニアに代わり紛争の判断を行うDAB(Dispute Adjudication Board)といった代替的な紛争解決手段によって,問題点を早期に抽出することによって、紛争予防することが可能であることを指摘した.
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