Research Abstract |
本研究の目的は,世界各国で実用に供されている都市モデルの実態について,主に土地利用モデルに着目して調査し,それに基づいて,各モデルが根拠とする理論や適用目的との関連における実用モデルとしての機能を体系化することである。 まず,前年度実施したモデル開発者に対する聞き取りを含む調査をもとに取りまとめた最新の都市モデル比較表を,国際学会で当該開発者に不明点等の内容を確認することによって完成させた。一方,昨年度から引き続き,土地利用と交通の一体計画の国外事例を収集し,特に,実用都市モデルの利用方法との関連において体系的に整理した。さらに,比較表作成時の情報をもとに,都市モデルの実用化の技術的な基盤であるデータ整備の実態,実用システムに用いられている使用言語やシステム開発ツール,理論モデルのシミュレーションモデルへの変換方法,土地利用と交通の相互作用に関わる動学処理等に関して各モデルの特色を明確にしつつ相互比較を行った。さらに,各モデルの我が国の都市圏への移転可能性に関して,特に,TRANUSとUrbanSimの両モデルに関して詳細に検討し,また,導入マニュアルの作成を行った。その際,限定的ではあるが,適用対象に対して要求される機能別に実用都市モデル導入の費用対効果を検討した。一方,このような分析システムの普及促進には関連計画における制度設計が不可欠であり,そのための試案を米国の実情をもとに作成した。また,各モデルシステムの機能を示すグラフィックス出力を収集した。 以上,本研究においては都市関連の計画論の立場から都市モデルの意義を明確にするとともにその技術的背景に関して体系的に整理した。この成果はわが国における都市圏計画の効率化等に貢献するだけではなく,本研究に協力してくれた世界の研究者に対しても体系的情報を提供するものである。
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