2007 Fiscal Year Annual Research Report
非滅菌環境下におけるバイオマス資源からの半連続式L-乳酸発酵の実用化に関する研究
Project/Area Number |
18560530
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津野 洋 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (40026315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 文武 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60283636)
日高 平 京都大学, 工学研究科, 助教 (30346093)
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Keywords | 生分解性プラスチック / 乳酸 / 発酵 / 有機性廃棄物 / リアルタイムPCR / 阻害 / グルコース / アンモニア |
Research Abstract |
本研究は、著しい需要の増大が予想される生分解性プラスチックであるポリ乳酸の原料として使用可能なL-乳酸を、生ごみといった有機性廃棄物等のバイオマス資源から安価で容易に製造する発酵プロセスの開発を目的としている。これまでの研究より、ポリ乳酸合成過程を考慮すると、L-乳酸発酵過程でのpH調整剤として従来の水酸化ナトリウムより、アンモニアがアルカリ剤として望ましいことが考えられた。そこで、アンモニアを用いて、グルコースを主体とした培地による発酵実験を、初期基質濃度、初期乳酸濃度などの条件を変えて行い、各種阻害効果などの把握を試みた。リアクターとして容積1Lのガラス製反応器を用い、温度の設定はリアクターをウォーターバスに浸漬することにより行った。リアクター内の発酵液は機械撹拌で完全混合となるよう撹拌した。pHの調整は、10%アンモニア水溶液を中和剤として用いて、pHコントローラーのON/OFF制御で行った。発酵により得られた乳酸は、おおむね98%以上の高光学純度であった。そして、基質阻害や生成した乳酸による阻害効果を把握した。また、その際の微生物の活動状況を把握するために、分子生物学的手法を用いた微生物量の把握も試みた。これまでの菌叢解析により判明したL-乳酸発酵で主要な微生物種であるBacillus coagulansの16S rDNAを特異的に測定できるプライマーを製作し、発酵過程における菌数をリアルタイムPCR法により測定した。B.coagulansのDNA濃度の増減傾向と処理特性の傾向は一致しており、リアルタイムPCR法により、B.coagulansの定量が可能であることが示された。処理特性の分析だけでは、実際面で必要な情報は入手可能であるものの、直接的な反応機構の担い手である微生物群の情報は間接的にしか得られない。本手法は、特に混合基質を対象とした発酵過程において、特定の微生物群の定量可能である点で有用となる。
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Research Products
(1 results)