2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄を利用したハイブリッド型砒素除去フィルターの開発
Project/Area Number |
18560534
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中島 淳 立命館大学, 理工学部, 教授 (00309098)
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Keywords | 砒素除去 / 地下水汚染 / バングラデシュ / 浄水処理 / 鉄バクテリア / 吸着 / 砒素除去フィルター / 国際協力 |
Research Abstract |
1.鉄バクテリアによる砒素除去特性の解明 バングラデシュの地下水の化学成分を想定した人工地下水を用いて室内実験を行ったところ、鉄バクテリアの存在によって2価鉄が3価鉄に酸化され、それに伴って3価砒素の除去性能が向上した。一方、鉄バクテリアによる3価砒素の5価砒素への直接的な酸化は示唆されなかった。バングラデシュにおける調査から、井戸水のろ過器において鉄バクテリアの存在が確認された。したがって、鉄バクテリアを用いた砒素除去法が、バングラデシュにおいて実用可能であることが示された。 2.金属鉄による砒素吸着特性の解明 1と同様に室内実験によって、金属鉄による砒素除去性能を確認した。金属鉄を用いたカラム実験においては、比較的早期に砒素除去性能が低下し、また、金属鉄から2価鉄の溶出が進行した。 3.ハイブリッド型砒素除去プロセスの構築 鉄バクテリアカラムと金属鉄カラムを接続させたシステムにおいて、砒素除去性能を検討した。鉄バクテリア+金属鉄の順序では、砒素の除去は良好だが処理水への2価鉄の流出がみられた。一方、金属鉄+鉄バクテリアの順序では、処理水への2価鉄の流出はみられず砒素除去性能も良好であった。後者のシステムでは、金属鉄カラムからの2価鉄の供給により鉄バクテリアの活性が維持され,また金属鉄カフムから砒素が流出した場合でも鉄バクテリアカラムによる補完的な砒素除去が可能であった。 4.砒素除去フィルターの設計 設計の準備として、バングラデシュで用いられている既存フィルターの使用実態について調査した。砒素除去用の特殊フィルターは、砒素除去性能については良好だが高価である。また、破損時の修理などで維持管理面の課題が示唆された。現地での持続発展性を考慮すると、フィルターのベースとなる固液分離部分は、現地の粘土を焼成して製作することが適当と考えられた。
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Research Products
(2 results)