2006 Fiscal Year Annual Research Report
ひずみ硬化型高靭性モルタルによる木造住宅耐震用制振壁部材の開発
Project/Area Number |
18560555
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山田 寛次 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50315628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 智 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (80315647)
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Keywords | 高靭性 / ひずみ硬化 / 引張軟化曲線 / 縁端距離 / 木造フレーム / エネルギ吸収性能 / 等価粘性係数 / FEM |
Research Abstract |
本年度の研究として、第一に壁部材の木造柱への取付方法の検討を行った。従来壁の木造軸組への取付方法について既往の金物等を調査してまとめ、これを参考に、ひずみ硬化型高靭性モルタルを軸組に取り付ける部分の詳細を決めた。現場打ちで製作するパネルの大きさが300mmx800mmの場合はボルト接合、工場製品になっているスレートの場合はビス止めとした。 次に、高靭性モルタルの基礎物性の測定を行った。測定したのは、圧縮強度、引張に関する物性値(軟化開始応力、引張軟化曲線)、弾性率等である。 取り付け部で最も重要なのはビスの材料端部からの縁端距離である。そこで縁端距離を15、20、25mmと三種類変えた試験体を製作し、ビスを介して荷重をかけ、破壊性状を観察した。その結果、縁端距離は25mm必要であることが確かめられた。 上記の検討結果を用いて、木造フレームと高靭性モルタルを用いた載荷試験を実施した。載荷したのは、幅910mm、高さ2625mmの木造フレームだけの場合(R試験体)、そのフレームに真壁(HS試験体)または大壁(HO試験体)仕様で高靭性モルタルスレートを貼り付けたもの、現場打ち高靭性モルタルを穴あきパネルとしてボルト接合した(DP試験体)ものである。その結果、DP試験体のエネルギ吸収性能を示す等価粘性係数は1/60(rad)まで平均的に26.54%と他の試験体と比べ高い減衰性能を示した。しかし、剛性が低いため、等価耐力で比較するとHO試験体、HS試験体の方が高くなり、壁倍率表示ではDP試験体がO.88、HO試験体とHS試験体はほぼ1.9となった。 以上の実験と合わせて、DP試験体の場合に関してFEMシミュレーションを行い、非線形解析によって最大の応力点とひび割れ箇所は一致することを確認した。今後、スリットを入れた試験体の製作やその解析を行う予定である。
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