2006 Fiscal Year Annual Research Report
巨大地震時に予測される長周期地震動を受ける鋼構造超高層骨組の限界耐力の解明
Project/Area Number |
18560557
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山崎 真司 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (30264592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見波 進 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (00219693)
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Keywords | 鋼梁 / 繰返し載荷 / 梁端接合部 / エネルギー吸収能力 / 耐力上昇率 / 累積塑性変形倍率 / 耐力上昇率 / ランダム載荷 |
Research Abstract |
2003年十勝沖地震において,震源から160km以上離れた苫小牧で,石油タンクに被害が発生した.これは盆地形状を有する地下構造により表面波の長周期成分が増幅したためである.首都圏,大阪圏,名古屋圏も深い地下構造が盆地形状を示すことから,近い将来に発生が予想される東海・東南海・南海地震等の海溝型地震によって長周期成分に大きなパワーを持つ地震動が数分間続くことが予想されている.最近の超高層建築の設計においては長周期成分を含む模擬地震波を用いて検討が行われているが,既存超高層建築の多くの設計においては,主にE1 Centro波,Taft波,Hachihohe波等の観測波を拡大して検討に用いている.超高層建築の設計は設計用荷重に対して余力を有する様に配慮して行われているので,設計で想定している条件を超える外乱に対して必ずしも大きな損傷が生じるものでは無いが,巨大地震時に想定される長周期地震動を受けたときの性状について現在の技術に基づき検討し,必要があれば適切な補強等の対策を立てる必要がある.本研究では鋼構造超高層建築が巨大地震時に予測される長周期地震動を受けたときの限界耐力を実験および応答解析に基づき明らかにすることを目的とする. 研究期間は,平成18年度,平成19年度の2年間で,平成18年度では,主に実験的研究を行った.試験体は溶接組立H形断面梁で,繰返し載荷を行い梁の弾塑性挙動およびエネルギー吸収応力について調べた.試験体は,骨組の一部を取り出したト形試験体である.1970年代および1980年代以降に建設された既存超高層骨組で用いられている梁断面に対応した断面形状について実験を行うこととし,梁断面は幅厚比の異なる3種類で,典型的な梁端仕口形状である現場溶接タイプとブラケットタイプの仕口形状の異なる試験体について実験を行い,挙動の違いを調べた.全ての試験体に対し繰返し載荷を行い,既往の研究で標準的に用いられているパターンである2回ずつ繰返し漸増振幅の他に4回ずつ繰返し漸増振幅,パターン繰返しおよび巨大地震時に想定される載荷条件をモデル化したものである.実験結果を整理し載荷パターンの影響を検討し,繰返し載荷が耐力上昇率に及ぼす影響を明らかにし,繰返し曲げを受ける鋼梁のエネルギー吸収能力を定量的に予測する方法を提案した.
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Research Products
(3 results)