Research Abstract |
平成18年度は,土壁の数値解析技術の基礎的な研究を行った, 解析手法の確認のため,小壁,2P土壁(幅1820mm,高さ2730mm)の既往の実験結果と解析結果を比較した.また,平成19年度実験の先行解析を行った.その結果,土壁耐力を計算で求める際は土要素の引張強度試験(割裂試験)が必要であること,土の特性(最大耐力,履歴特性)により土壁耐力特性が異なるため土要素の特性が多少でも異なる場合は土要素特性の把握が必要であること,が判明した. また,解析の基礎となるデータ収集のため,土壁の載荷試験を行った.発注先業者の好意により,18体の載荷試験を行った.内訳は.荒壁のみの試験体6体,片側中塗り壁の試験体6体,両側中塗り壁の試験体6体である,合わせて,30cm角材料試験体と円柱試験体(圧縮試験,割裂試験)により,材料試験を行った.円柱試験体の実験結果として,砂の割合の異なる中塗り土は,砂の割合が異なってもほぼ同程度の性能を有している,また,中塗り土の最大圧縮応力度は荒壁土の最大圧縮応力度の80%程度であるが,最大圧縮応力度発生時の歪は同程度である,割裂試験から推測した中塗り土の引張強度は荒壁土の90%程度である.また,土の種類を問わず,引張強度は最大圧縮応力度の20%程度である.最大圧縮強度発生時までの剛性は試験体毎のバラツキが小さいものの,最大圧縮応力度発生後の荷重一変位曲線のバラツキは試験体毎に大きく異なり定性的傾向がない.壁試験体の実験結果より,土壁破壊形式が,壁土の圧壊の場合には荷重-変位曲線の試験体間のバラツキは少ないこと,柱脚接合部破壊の場合には荷重一変位曲線の試験体間のバラツキが大きくなること,が判明した.今回の実験は無識荷方式であったため,柱脚破壊が先行しやすかった.今後は,柱軸力と破壊形式の関係を検討する必要がある.
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