2006 Fiscal Year Annual Research Report
恒温・調湿性能を利用する高機能住宅の最適設計指針と環境性能評価
Project/Area Number |
18560579
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
尾崎 明仁 京都府立大学, 人間環境学部, 教授 (90221853)
|
Keywords | 建築熱環境 / 室内温湿度 / 熱・水分・空気連成移動 / 吸放湿 / 調湿 / 水分伝導率 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
建物で起きる熱と水分と空気の連成移動を熱力学に準拠した非線形現象として表現し,建物全体(空間および躯体)の温湿度変動を予測する数値シミュレーションソフト「THERB for HAM (Simulation Software of the Hygrothermal Environment of Residential Buildings based upon the Principle of Heat and MassTransferandAirflow)」を開発した。熱・水分複合移動モデルとして,エネルギーと水分の保存則から成る非平衡熱力学モデル「P-model」を用いることにより,壁体の熱伝導と水分伝導の精緻な連成計算を可能とした。実住宅を対象とした室内温湿度の測定結果とTHERBの計算結果を比較することにより,THERBは建物の温湿度変動(熱・水分移動現象)を精度良く計算できることを確認した。 なお,室内湿度変動には建築材料(多孔質材)の水分移動が大きく影響する。しかし,計算に必要な材料物性値は十分に測定・整理されているとはいえず,また従来の測定方法は長期間を要する。そこで,(1)分子拡散,(2)Knudsen拡散,(3)表面拡散,(4)毛管凝縮相の移動の4つの形態を考慮した総合的な分子拡散モデルを導出し,細孔径分布から多孔質材の水分伝導率を推定する方法を提案した。 さらに,調湿建材を使用するための最適設計手法を提案するため,THERBの入力条件と出力結果(数値シミュレーション結果)を基に,室内湿度を目的変数,その影響因子を説明変数として重回帰分析を行い,室内湿度の簡易予測方法を構築した。これにより,調湿建材を有効活用するための最適設計指針が実用的かつ定量的に得られる。また,数値シミュレーションを駆使したケーススタディ(数値実験)を行い,詳細計算と比較して簡易計算の精度についても検証した。
|
Research Products
(14 results)