2006 Fiscal Year Annual Research Report
空間の幾何的対称性に着目したコンサートホール音場の性能評価に関する研究
Project/Area Number |
18560584
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
古屋 浩 九州共立大学, 工学部, 教授 (00238700)
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Keywords | 建築環境・設備 / 空間音響 / 形状設計 / コンサートホール / 音場評価 / 非対称形状 |
Research Abstract |
本年度(初年度)は、これまでに得られている予備的な実験結果を踏まえ、空間の幾何的対称性と音場性能の関連を明らかにすることを目的として、コンピュータシミュレーションを用い検討を行った。 対象とする室形態は、収容人数1,500人規模のコンサートホールを想定し、シューボックス形状を基準にホール両側壁を±30°の範囲で傾斜させた対称および非対称平面を有する計17タイプの3次元モデルを用いた。ここで、空間の対称性の度合いを表現するパラメータとしてδ=|θ_L+θ_R(δ=0°:対称形,δ≠0°:非対称形,θ_L,θ_R:左,右それぞれの側壁の傾き)を、また両側壁の相対開き角度をθ_<LR>=θ_L-θ_R(θ_<LR>>0°:扇形,θ_<LR><0°:逆扇形)により各々定義した。また、室の内装面は、幾何反射波の生起状況と形状の関連を抽出する目的で、客席後壁廻りを含めて全ての面を反射性とした(客席床を除く)。音線法と虚像法をハイブリッドしたCone Beam Methodを用いてモデル内の観測点におけるインパルス応答を求め、得られたインパルス応答からStrength G,初期音レベルG80,後期音レベルGL等を算出し、それらの空間分布特性の変化を形状の幾何特性との関連から考察した。 その結果、非対称形状では対称形状に比べ反射音レベルの距離減衰量が小さく、特にGLの空間分布特性が改善される効果を確認した。また、距離減衰特性と対称/非対称条件の関係を明確にするためにGLの距離減衰率mを算出した結果、δの増加とともにmが小さくなる傾向を示した。さらに、距離減衰特性の形状による差の要因を調べるために各観測点における幾何反射音数を算出した結果、全反射モデルという条件下にも拘わらず累積幾何反射音数は対称形において最も少なく非対称形になると増加することが分かった。これらの結果は、実際のホールにおける内装条件を考慮した吸音性形状モデルを対象に実施したシミュレーションおよび模型実験の結果と符合するものであり、形状の幾何的対称性の影響を示すものである。今後はさらに、室の横断面形状や局所的な反射壁等を対象とした実験を進めてゆく予定である。
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Research Products
(3 results)