2008 Fiscal Year Annual Research Report
空間の幾何的対称性に着目したコンサートホール音場の性能評価に関する研究
Project/Area Number |
18560584
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
古屋 浩 Kyushu Kyoritsu University, 工学部, 教授 (00238700)
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Keywords | 建築環境・設備 / 空間音響 / 形状設計 / コンサートホール / 音場評価 / 非対称形状 |
Research Abstract |
空間の「幾何的特性」、すなわち室の形状は、音場の性質を決定する最も基本的かつ重要な要因である。本研究は、オーディトリウムの音響物理特性を空間の幾何対称性との関連から分析し、非対称ホール空間の音響的可能性について明らかにするとともに、建築計画上の選択肢拡大への寄与に資する形状評価指針を提供することを目的とする。本年度(最終年度)は、次の2点に関するコンピュータシミュレーションと実験を行い、コンサートホール空間の幾何対称性と音場性能の関連を明らかした。シミュレーションおよび音響模型実験の具体的方法および解析物理量等については昨年度と同様である。 1.壁面の乱反射率を考慮した音響散乱形状モデルによる検討 2.単純形状モデル並びに拡散形状モデルを対象とした音響縮尺模型実験による検証 1.では、壁,天井面における散乱反射を考慮したホールモデルを対象に、乱反射率の変化による音圧分布特性への影響並びに室の基本形状との関連についてシミュレーションにより考察した。その結果から、乱反射率sの値が大きくなるほど場内音圧レベルは低下しs=0.50のときに最小となること、また室内平均乱反射率が0.54以上になると室形状の違いによる音圧分布性能の差が小さくなり、形状固有の音場改善効果が見えなくなることを示した。2.では、平壁形状並びに拡散壁形状を対象に音響縮尺模型実験を実施し、これまでに得られているシミュレーション解析結果と比較検討した。その結果、実験値も解析値と同様の傾向を示すことが確認され、非対称形状では対称形状に比べ反射音レベルの距離減衰量が小さく、音圧分布特性が改善される効果を有していることが実験的にも検証された。本研究の成果は、非対称空間を視野に入れたコンサートホールの室形状設計が音場性能改善のために有効であることを示すものである。
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Research Products
(6 results)