2007 Fiscal Year Annual Research Report
景観法を運用するためのデザイン審査と景観教育の方法論についての基礎研究
Project/Area Number |
18560594
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂井 文 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80401701)
|
Keywords | イギリス / CABE / デザインレビュー / 景観法 / 景観教育 |
Research Abstract |
本研究は、平成16年に制定された景観法を運用するうえで欠かせない、景観計画の作成に向けた実践における指導の方法と、開発行為に対するデザイン審査の方法について、イギリスで活用されている方法論に着目しながら、日本独自の運用体制の構築を提言するための基礎調査を行うことを目的としている。 具体的には、イギリスのCABE(イギリスの国土交通省と文化科学省に当たる省庁によって設立された政府外郭団体)が実践する方法論について、次の3点に着目しながら基礎調査を行った。すなわち1)地方自治体の関係職員に対する良好な開発計画を導く手法の指導方法、2)住民参加を促すための景観教育や啓蒙の方法、3)開発計画に対するデザイン審査の方法、である。 1)については、CABEの中央組織において政府の方針に則った基本方針を定めると同時に、各地の建築・都市計画の実務者から選定された者を、開発計画に対して助言を行う者としてCABEから派遣するシステムと構築していることが明らかとなった。このことによって、全国的な基本方針に沿いながらも、各地の状況に合わせた個別の対応を可能にしていると考えられる。 2)については、特に学校における景観教育に力を入れ、教育改革と連携しながらすすめていることがわかった。多様化する住民の啓蒙活動の方策として、景観教育を学校教育に組み込むことは有用であるうえに、景観に興味をもつ人材の育成となり、長期的な将来を見据えた取り組みと考えられる。 3)については、デザイン審査の対象を、規模や機能の点で重要な計画、立地の点で重要な計画、規模・機能・立地を超えた重要性を含む計画とし、年間400近いデザイン審査を行っていることが明らかとなった。建築・芸術関係の様々な分野の実務に携わる専門家がデザイン審査員として、計画ごとに議論を重ねる方式で審査を行い、開発計画の変更を促し、デザインの質を高めていることが確認された。
|