2006 Fiscal Year Annual Research Report
従来型特別養護老人ホームのユニット化および環境改善手法の研究
Project/Area Number |
18560597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
足立 啓 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50140249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 友常 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20304181)
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Keywords | 認知症 / 特別養護老人ホーム / ユニットケア / 環境改善 |
Research Abstract |
本研究の目的は、従来型特別養護老人ホームにおけるユニット化の現状や環境改善の実態を把握するとともに、その環境改善手法を検討することである。まず初年度研究として、従来型でユニット化している先進事例の抽出を文献調査等より行い、約20施設の調査対象を選定した。そのうち15施設を現地訪問し、ヒアリング調査、図面採取、写真撮影、キャプション評価などの手法によって、環境改善の現状をハード面、ソフト面から把握するとともに、その効果や課題を抽出した。従来型でユニット化する場合、建築制約条件(多床室、長い廊下、大食堂など)、職員配置の不均衡、職員研修の必要性など様々なハード、ソフトの制約条件や困難の中での実施状況が示された。従来型でユニットを実施すると、同じ施設であってもユニットの固有条件や規模は異なる。 ユニット化のプロセスは、1)小規模な共有空間(LDK)の確保と食事・団欒のグループ化、2)日中のユニット職員の固定化、3)トイレ、次いで小規模浴室の確保、の順で実施されることが多いことが明らかになった。 またユニット化による自己評価は比較的高く、職員意識やモチベーションの向上、入居者との親和感の増加、小規模・家庭的環境の整備など、ポジティブな評価がみられた。今後さらに従来型ユニットケアを普及させる要因として、職員配置の増加支援、ユニット化改修コスト補助など経済的負担の軽減化、補助金や介護報酬の見直しなど制度的な支援が不可欠との意見も多く聞かれた。今年度は先進施設の現状把握を行ったが、次年度では事例数を増やすとともに、多様なユニットの設置プロセスを詳細に分析し、ユニット化への環境改善手法の提案を行う予定である。
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