2007 Fiscal Year Annual Research Report
従来型特別養護老人ホームのユニット化および環境改善手法に関する研究
Project/Area Number |
18560597
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
足立 啓 Wakayama University, システム工学部, 教授 (50140249)
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Keywords | 特別養護老人ホーム / ユニットケア / 認知症 / 環境改善 / QOL |
Research Abstract |
本研究では、主に以下の2種類の視点から、従来型特別養護老人ホーム(以下、従来型特養)におけるユニットケア現状把握および施設ケア環境改善手法の検討を行った。 1)従来型特養ユニットケアの先進事例調査 先進的事例30施設の現地調査および構造化インタビューによってのユニットの実態を検討した。調査施設は比較的に小規模グループ(平均14人)で家庭的環境を維持している。従来型のユニット化に際しては、まずリビング7割、次いでダイニング6割、キッチン4割の順で共有空間を整備する傾向がみられた。従来型ゆえ給水排水設備の大幅改修には多大な費用がかかる。水周りの改修は1,2割程度と予想されたが、調査施設の3割が浴室をユニット内に設置していた。トイレは居室(主に4床室)毎に設置が4割であった。新型特養の設備には及ばないものの、従来型でもユニットケアを実施する施設には、試行錯誤の中で環境改善に積極的に取り組む様子が伺える。 2)従来型特養の環境改善に関する実践的調査 環境づくりに賛同する施設職員と大学研究者で「PEAP:ケア環境改善研修会」を定例で開催し、実践的な環境作りの実践事例研究を行った。その結果、研修会に長期的に参加し、継続的な環境作りを実践するためには、現場職員の参加だけでなく施設長など管理職の参加と支援が重要であることが確認された。ケア環境の物理的環境変容は、各施設の運営的体制によって異なるが、積極的に取り組む施設は、約半年間で小規模ユニットケア化の実現や大規模改修にいたった。他方、職員が日々の業務に追われてケア環境改善や意識改善が順当に進まず、居室内の個人領域化も十分できない施設も見られた。 以上、従来型特養におけるユニット化の現状と改善手法に関する有用な知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)