2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560607
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
横内 憲久 Nihon University, 理工学部, 教授 (30060172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 英幸 名古屋大学, エコトピア科学研究所付属アジア資源循環研究センター, 研究員 (70434115)
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Keywords | ミチゲーション制度 / 緑地 / 流山市 / 景観評価 / アイマークレコーダ / 車窓景観 |
Research Abstract |
わが国における環境補償制度の可能性を探るべく、2006年度より米国のミチゲーション制度を調査・解析してきた。その結果、「開発と保全」との共存を図るためのシステムとして米国のミチゲーション制度は高く評価できるとした。しかしながら、国土面積の広狭、環境(緑、生物、景観等)の捉え方、土地所有の考え方、地価の評価方法および文化性などの相違から米国の制度や考え方をそのまま導入することは無理があることや、わが国の大規模な都市における保全の主な対象が最も分かりやすい「緑量」や「景観」であることなどが判明してきた。 そこで、わが国での環境補償のあり方を実証的に捉えるため、2005年に開通したつくばエクスプレス線(東京・秋葉原一茨城・つくば)沿線開発によって「開発と保全」の狭間に立っている千葉県流山市を対象に研究を進めることにした。2007年度は流山市が取り組む環境政策の一環であるグリーンチェーンを柱に、他区市等で行われている緑地保存施策等をも収集分析し、行政主導による環境保全対策および地元住民との意思の疎通の重要性を具体に指摘した。本年度は、景観と緑に着目して、つくばエクスプレス線の走行時に見える景観の評価を行った。実際に流山市内を走行している約3キロメートルの景観をビデオ撮影して、それを被験者にアイマークレコーダによって評価させる。その結果、車窓から見える遠景の緑は絶えず無意識に眼で追う対象となっていることが判明した。 都市における緑がわが国では環境のシンボルとなっている。環境補償の対象はこの緑量の保障であるといっても過言ではない。環境の一方の指標である生物の生息も緑と水の存在なしには考えられないからである。
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