Research Abstract |
兵庫県南部地震以降,新潟中越地震をはじめ被害地震が多発し,首都直下地震についても国として本格的な対策が検討されるようになり,対策が急務となっている。社会や市民の被害軽減のためには,来たり得る災害に備えて,平時から児童・生徒を含めた市民ひとりひとりが,住安全・防災について知識を深め,平時から災害を忘れずに備えることが必要である。これには幼少期からの防災教育が鍵を握り,小学校・中学校での防災教育の必要性を申請者は指摘してきた。阪神・淡路大震災後,防災という科目は設置されなかったが,各科目を横断する形で防災教育を実施することになり,現場裁量が多い総合的な学習の時間が期待されたが,防災をテーマにした事例は少なく,また今年度は時間数の見直しも検討された。また「防災チャレンジプラン」(内閣府)という防災教育を活性化するプログラムが始まっているが,全国的に防災教育が進んでいるとはいえない。このように防災教育はまだ始まったばかりであるため,本研究では,学齢や教育対象に応じた先進的な防災教育事例を収集し,対象別に応じたカリキュラムモデルの作成,教育ツールの整理を行い,最終的にはカリキュラムの整備を計画している。 本年度は,防災教育の現状を把握するため,文部科学省および各都道府県における防災教育に関する基本目標と指導内容を調査するとともに,昨年度に続き防災教育の実践事例の収集を行なった。また,東京都では昨年度に続き安全教育プログラムの一環として事業推進校で災害安全教育のモデル授業が行われ,事業に参画し,実践事例集がまとめられた。また,今年度は新たに千葉県教育庁でも防災教育が始められ,事例を収集した。今後は,これまで収集した防災教育事例から,学齢に応じた防災教育カリキュラムの体系化を行う。
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