2006 Fiscal Year Annual Research Report
多世代共住とジェンダーからみた小規模地域分散型高齢者居住施設に関する研究
Project/Area Number |
18560620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
上和田 茂 九州産業大学, 工学部, 教授 (70122596)
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Keywords | 高齢者 / 高齢者居住施設 / ジェンダー / 多世代共住 / 男女混住 |
Research Abstract |
在宅に近い高齢者のケア施設と想定されている「小規模地域分散型高齢者居住施設」の設置動向と生活概況を把握するため、全国1,842箇所の市町村および230箇所の該当施設を対象とする郵送アンケートを行い、分析に有効な78箇所のデータが得られた。 ジェンダーの視点から該当施設の施設特性および生活特性を把握するため、男女の混住度により、全施設を「男多数型(女性入居者の比率が0〜40%)」、「男女同数型(41〜60%)」、「女性多数型(61〜99%)」、「全員女性型(100%)」の4つに類型化した。 分析より得られた各類型の特徴は以下の通りである。「男性多数型」は9室以下の小規模施設が多く、概ね入居費用は安価で、施設グレードも低い。入居者間の生活上の交流や相互支援は不活発で、家族の来訪も低調で、全体として受ける印象は明るくない。「男女同数型」は、施設規模および入居費用は大小に二分化されるが、施設グレードは比較的高い。入居者間の交流や相互支援は活発であるが、男女差が認められる。「女性多数型」は、多数室型の施設が多い。施設グレードは多様である。施設介護の設置率が高い。単独入居以外に夫婦や親子で入居する事例も少なくなく、全体として多様性が顕著である。入居者間の交流も活発ではあるが、男女差が著しく、男女間のトラブルも他類型に比較して多い。トラブルの原因は、男性における共同生活意識の希薄さにある。「全員女性型」は、小規模施設が多いものの、その施設・設備のグレードは高く、入居費用も比較的高めである。その多くが、共同生活に対する確固たる方針を有する個人経営者(全て女性)により設立され、入居者も、そのような方針に魅力を感じて遠方からも応募し、入居後も積極的な共同生活が展開されているものが多い。
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