2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560624
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉田 鋼市 Yokohama National University, 工学研究院, 教授 (60111704)
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Keywords | 建築史・意匠 / 近代建築 / アール・デコ |
Research Abstract |
平成21年度は、主としてインドにおけるアール・デコ建築の普及状況について調査した。調査した都市は、ムンバイとデリーとジョードプルであるが、デリーにはアール・デコ建築はほとんど見られない。デリーでは英国人建築家の支配力が強く、彼らはヒンズーおよびイスラムのインド的伝統と、英国風のクラシックの融合に邁進したからであろう。それに対して、ムンバイにはアール・デコの建築が多い。ムンバイにはいちはやく建築の高等教育機関が置かれ、そこから育ったインド人建築家たちが新しい表現を求めた。アール・デコの建築は、主としてインド人建築家たちによって用いられた傾向が強い。英国ではない普遍的な近代的表現としてアール・デコがとらえられたのであろう。彼らはまた、アール・デコにインドの伝統的な造形表現をもりこんだ。New India Assurance buildingがその例である。ムンバイにおけるアール・デコは、英国からの独立運動、インドの自立運動の建築的表現としても考えられる。ジョードプルには、そのインテリアが典型的なウマイド・バワンというマハーラージャの築いた宮殿がある。それは、インドのアール・デコ建築の代表と見られるものであるが、そのインテリアのデザインのおもにポーランド人画家のノルブリンの設計によるものであった。アール・デコは、RC造という普遍的な新しい技術と、それぞれの土地の伝統的な造形を結びつけ得るスタイルとして急速に広まっていった。そうした視点に立って、これまでの研究の総合的なまとめを実施中である。
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Research Products
(1 results)