2008 Fiscal Year Annual Research Report
遼・金時代の都城造営に関する建築史的研究-とくに宮殿を中心として-
Project/Area Number |
18560629
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 美穂 Kyoto University, 人文科学研究所, 非常勤講師 (50379046)
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Keywords | 宮殿 / 造営 / 庭園 / 正殿 / 遼代 / 金代 / 元代 |
Research Abstract |
本研究は、遼代と金代の宮殿・都市・庭園を中心とした建築空間の解明を中心テーマとする。周知のように遼、金、元の三王朝は、北方征服民族として一括されることが多い。元の建築空間については、本研究以前から研究を進めており、元の研究をさらに発展させるために、本研究を開始した。ところが本研究を進めるにつれて、遼、金の建築空間をより理解するためには、まず資料の残りの良い元代の宮殿・庭園に関する資料をさらに詳しく検討しなければならないことが判明し、昨年度(19年度)に引き続いて元についてのさらなる研究を行った。成果としては、「元大都の奎章閣と宣文閣-中国趣味とモンゴルの空間観念-」(建築史学投稿予定)、やハイデルベルク大学のワークショップ「Authenticity What?」における『元典章』に関する研究発表等がある。 また、本年度は、具体的な研究キーワードとして正殿を設定した。非漢族の建築のうちでも正殿が漢族の影響を最も受けたと考えられるからである。こうして、正殿に関する資料収集と検討につとめた。この成果としては、ハイデルベルク大学のワークショップでの首里の正殿に関する発表がある。 また、現状では漢族の正殿について研究がほぼ行われていない。したがって、征服王朝と同時に、漢族の正殿にかんする基本的な研究を進めなければならないことが痛感された。そこで唐代正殿の基本的データを収集・分析した。この副産物が、宮殿儀式をメインテーマとするシンポジウム「宮殿建築の空間と儀式に関する歴史的研究」における二度の発表となった。
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