2007 Fiscal Year Annual Research Report
豊臣政権の都市政策として捉えた平入り志向の景観形成に関する研究
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18560632
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 雅明 Kyushu University, 芸術工学研究院, 教授 (80128115)
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Keywords | 平入り町家 / 景観形成 / 豊臣政権 / 都市政策 / 森 / 呼子 / 佐々並 / 妻入り町家 |
Research Abstract |
近世都市の成立において重要な役割を果たした豊臣政権が、景観レベルにおいていかなる都市政策を展開したのかについては、二階建町家の建設や軒高の揃った町家建設を奨励したことが断片的に知られるのみで、空間や社会まで見通した総合的な知見が得られていない。本研究は近世都市に卓越する平入り志向の景観形成が、空間や社会の大規模な再編を目指した豊臣政権の都市政策の一環をなしたという仮説の論証を目指すもので、妻入り志向と平入り志向の町並みの地域分布を遡及的に把握し、近出の遺構資料や文献・絵画史料の再検討を通して、既往研究の成果も踏まえつつ社会から空間、さらに日常の生活世界が展開した景観までを貫く総合的な観点から、近世都市における景観形成と豊臣政権の都市政策の実相に迫ることを目的としている。 本年度は中世起源の在方町として瓦葺主体の肥前呼子、近世初頭に建設された豊臣系の城下町として竹瓦葺主体の豊後森、在方町として茅葺主体の長門佐々並を取り上げ、文献史料及び遺構資料の調査を通して、屋根葺材にも着目しつつ検討を加えた。併せて従前の調査によって解明されている北部九州地域の平入り志向と妻入り志向の景観形成の諸相について、茅葺町家から瓦葺町家への転換、板葺町家から瓦葺町家への転換、さらに町並みの立地条件に着目しつつ再検討を試み、後者が在方町を中心として分布し、妻入り志向の景観を形成し、前者が城下町を中心として平入り志向の景観を形成し、豊臣政権の関わり深い都市では後者が卓越すること、明治期以降、平入り志向から妻入り志向への転換が生じるという成果を得た。平入り志向と妻入り志向の景観形成は多様な展開を見せることが明らかとなり、次年度はこのモザイク状の分布を示す北部九州地域、板葺き主体の妻入り志向の景観を形成した東日本の日本海岸について、さらなる検討を要することが課題として浮上するに至った。
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Research Products
(5 results)