2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子線ホログラフィーによる変位型相変態に先立つパターン形成の機構解明
Project/Area Number |
18560641
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 恭和 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (30281992)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20154396)
赤瀬 善太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90372317)
|
Keywords | 電子顕微鏡 / TEM / 磁区構造 / 相変態 / マルテンサイト / 電子線ホログラフィー / 電子回折 / 組織制御 |
Research Abstract |
平成18年度の研究実績を以下に要約する。 1.FIBによる形態制御技術の確立と試料調整 電子線ホログラフィーによる磁束観察を精度良く行うためには、縦横のサイズがミクロンオーダーの薄膜試料をほぼ均一な厚さ(100nm以下)に形態制御する必要がある。本研究では、集束イオンビーム装置(FIB)を利用して、磁束観察に適した薄膜試料の調整プロセスを確立した。一方、合金によっては、Gaイオンビームの照射によるダメージのため、マルテンサイト変態が不均一化されるケースがあった。この問題を解決するために、低加速のArイオンビームによる表面ダメージ層の除去を行うなどの対策を施した。 2.高温相のパターン形成に影響を及ぼす因子の検証 18年度は、以下のマルテンサイト系合金の系統的な磁区構造観察を行った(1)Ni_2MnGa合金(規則合金:母相・マルテンサイト共に強磁性)、(2)Ni_2(Co)MnIn合金(規則合金:母相は強磁性、マルテンサイトは反強磁性)、(3)Fe-Pd合金(不規則合金:母相・マルテンサイト共に強磁性)。このうち、母相におけるパターン形成の兆候が最も顕著に見られるのはFe-Pd合金であった。実際にFe-Pd合金のマルテンサイト変態は、温度ヒステリシスや格子定数の温度依存性等の幾つかの点で二次相変態に近い挙動を示し、パターン形成に関わる観察結果とも対応する。他の合金系との比較検討は、19年度も引き続き行う計画である。 3.TEM内応力実験の準備 備品として購入した小型試料駆動装置を透過電子顕微鏡用の試料ホルダー(FIB装置にも挿入可能)に装着した。ピエゾ駆動装置ほどの位置制御精度は無いが、薄膜化した試料への応力負荷と、それに伴う磁区構造変化の様子が観察可能になり、計画はほぼ予定通り進んだ。
|