2006 Fiscal Year Annual Research Report
銅中のコバルトおよび鉄ナノ微粒子の磁性と自己組織化の発展過程
Project/Area Number |
18560643
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹田 真帆人 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 准教授 (30188198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 善二 東大, 物性研究所, 教授 (30192719)
孫 成圭 九州大, 超高圧電顕室, 研究員 (50403994)
|
Keywords | ナノ磁性微粒子 / 組織自己形成 / ローレンツ電顕法 / SQUID測定 |
Research Abstract |
本研究では、ナノ磁性粒子の自己組織形成過程と磁性の関係を、ローレンツ顕微鏡法、電子線エネルギー損失分光(EELS)法を含む電子顕微鏡学的手法と磁気測定から調べようとするものである。 (1)銅中の形成させた鉄、コバルト、鉄-コバルト複合粒子などについてナノ磁性粒子形状、サイズ分布、粒子間距離、磁区構造を検討した。コバルト微粒子では、最初期の形状が球状に近いことが確認された。粒子径の増加に従って外形は球状に近くなる。コバルトで観察された双対化は、鉄微粒子では顕著には見られないが、球状粒子でややその傾向を持つように見受けられる。形状ならびに双対化の様子からコバルト粒子に比べて鉄微粒子では磁気異方性が小さいことが予想される。磁気測定に関しても鉄粒子の析出初期には反強磁性を意味するカスプが観察された。鉄粒子では成長の或る段階から粒子内部に層状構造が観察された。この層状組織に関して相内部の原子配置を高分解能観察したところα相に対応する体心立方構造に近い。層状組織は従来出されている双晶構造の可能性もある。しかし反強磁性相と考えられ、その磁気特性を示す初期析出粒子から強磁性α相への移行については詳細な研究が行なわれておらず、本研究の結果が有用な知見になる可能性があると考えられる。 (2)EELS法は粒子の組成変化の追跡にたいへん有効な研究法であり、この手法をFe-Co複合組成粒子の組織発展過程調査に応用した。実験実施の結果、時間変化に対応して鮮明な溶質集積のZコントラスト像が得られた。溶質を完全に均一混合した試料からは、先ずFe微粒子がクラスタリングし、その後コバルトがこのFe粒子に集積して最終的にFe-Co複合粒子となることが分かった。SQUID測定による磁気特性は鉄とコバルト単なる算術和とは異なる結果を示しており、相互作用の強さの影響を速度論的にも検討する価値があると思われる。 (3)ローレンツ電顕法の応用をコバルト及び鉄、鉄-コバルト粒子について行なった。鉄に関する低温変化ではγ相からα相への移行が40-60nm辺りで起きていることが磁化曲線から明らかになった。低角電子線回折によると磁化方向は100である。原理的には微粒子に関するフーコー法の適用から磁区の空間分布が分かる。微細な磁性微粒子へのローレンツ・フーコー法適用と成功の報告は世界的にも出されていないが次年度試みる予定である。 (4)本研究における試料作製法の試行錯誤から、従来より高いGMR特性を示す可能性のある材料作製法が考案された。次年度この方法により作製された試料に関して磁気抵抗効果の実験も実施することにしている。 (5)ローレンツ顕微鏡にCCDカメラを装着し、画像の詳細検討が可能となった。
|