2006 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子消滅を利用した体心立方型金属間化合物中の原子空孔挙動の解明
Project/Area Number |
18560644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 秀樹 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20202749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 泰治 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (20154354)
水野 正隆 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (50324801)
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Keywords | 陽電子 / 陽電子消滅 / 陽電子寿命 / 原子空孔 / 金属間化合物 |
Research Abstract |
体心立方型金属間化合物は、一般に、軽量で、耐酸化性ならびに耐食性に優れている。また、多くの体心立方型金属間化合物において、強度の逆温度依存性が発現するため、新しい軽量高温構造材料として期待を集めている。しかし、体心立方型金属間化合物中の構造空孔や熱空孔の挙動は十分には理解されておらず、これらを制御して、耐クリープ特性や耐酸化特性を向上させる合金設計は行えていない。本研究では、B2規則構造およびCIIb規則構造を有する体心立方型金属間化合物中の構造空孔および熱空孔挙動を、最新の陽電子消滅測定技術を用いて明らかにすることを目的としている。本年度はB2型規則構造を有する金属間化合物Co100xAlx(X=46,9〜54.1)について、1273Kからの氷水焼き入れ材、空冷材、炉冷材の三種の陽電子寿命を測定した。陽電子平均寿命は、急冷速度に依存せず、46.9から54.1at%までAl濃度が増加するとともに、162から179ピコ秒まで増加した。DV-Xα分子軌道計算を行ったところ、B2構造のCoAlのバルクの陽電子寿命は114ピコ秒、Coサイト上の空孔中の陽電子寿命は175ピコ秒、Alサイト上の空孔中の陽電子寿命は160ピコ秒であった。これらの結果は、化学量論組成よりAlリッチな組成域だけでなく、Coリッチな組成域においても空孔が数百ppm以上の高濃度存在していることを示している。また、空孔は、Coサイトだけでなく、Alサイトも占有していることが明らかになった。
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