2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピノーダル理論に基づくGPゾーンについての新しい解釈とその材料学への応用
Project/Area Number |
18560646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 博司 九州工業大学, 工学部, 助教授 (70176923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 光弘 九州工業大学, 工学部, 教授 (70005552)
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Keywords | スピノーダル分解 / GPゾーン形成 / 準安定状態図 / 熱力学的解析 / 拡散型相変態 |
Research Abstract |
本研究では金属学における画期的な発見でありながらその機構解明が据え置かれてきた感のあるGPゾーンを対象に取り上げ、第一原理計算と熱力学的状態図計算を組み合わせた独自の手法を用いて、熱力学的側面からのGPゾーン形成の原因解明を研究目的としている。本年度は、Al-Cu2元系fccを基本構造とする仮想的な規則構造を構築し、各構造の生成エネルギーをFLAPW(Full Potential Linearized Augmented Plane Wave)法による第一原理計算を用いて算出しながら、有限温度における準安定規則構造や固溶体の準安定自由エネルギーを計算した。さらにこれらを実験値として取り入れながら、既存の熱力学データ、相境界データを用いてA1-Cu各2元系をはじめとして、Al-Ag、Al-Mg、Be-Cu、Al-Siなどの基本2元系の熱力学的解析を行った。またこのような計算を社会基盤材料としての重要性をもつCo、Cu、Feなどの合金に対して適用し、準安定スピノーダル領域の存在を予測した。その結果、Co-AlやCo・Beなどの合金系においてGPゾーンが形成される可能性が高いことが結論された。一方これらの第一原理計算と平行して、組織の時間変化についてのシミュレーションをCahn-Hilliardの拡散理論を用いて行い、Al-Cu2元系では100℃程度の低温時効でも、わずか数10分ほどの短時間でスピノーダル分解が生成することがわかった。
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Research Products
(2 results)