Research Abstract |
Ca_<57>Mg_<19>Cu_<24>をはじめとするCa-Mg-(Cu,Ag)バルク金属ガラスの特徴は(1)低密度,(2)低ヤング率,(3)低ガラス遷移温度,(4)広い過冷却液体領域を持つことである.このような特性を持つCa基金属ガラスは比較的低温(過冷却液体領域)でプラスティック金型により形状を転写することが可能であり,また,骨と同程度のヤング率を持つため,生体材料への利用も期待されている. 金属ガラスはガラス転移温度Tg以下で熱処理することでガラス構造中に含まれる自由体積の減少を伴うという構造緩和を起こす.Tg以下での熱処理の有無の2種類の試料を作製し,超音波音速測定法によりその金属ガラスの弾性定数を求め,弾性定数と構造緩和の関係を調べた. 鋳造したままの試料とガラス転移温度直下で熱処理した試料(393K-12h,24h,48h,96h, crystal)を用意し,熱処理毎に室温での縦波,横波の音速の絶対値を測定した.縦波音波V_<11>から縦弾性定数C_<11>,横波音速V_<44>から横弾性定数C_<44>(=剛性率)を求め,これらを用いてC_<12>,ヤング率E,ボアソン比v,体積弾性率Bを計算した. DSC曲線よりガラス転移温度Tg=405(K),結晶化開始温度Tx=435(K)を得た.試料はXRDパターンから非晶質であると同定できた.試料の密度は熱処理時間の増加に伴い増加し,熱処理時間24時間まで急激に上昇し,その後増加が緩やかになっていることが分かった.密度増加率と静的機械特性値とは強い相関を示した.また,ヤング率,剛性率及び体積弾性率は密度増加率に比例して増加傾向に,一方ポアソン比は比例して減少傾向にあった.ヤング率は40-50GPaとなり,骨のそれと同程度になり,生体材料への応用が期待される.また,これらの値は密度の変化率に比べて10〜20倍程度大きく,試料の静的機械特性は構造緩和に対して敏感であることが分かった.この材料を応用する場合,熱処理が重要であることが分かった.
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