2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波誘電体ペロブスカイトの同形イオン置換法に基づく材質設計図の作成
Project/Area Number |
18560660
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
井川 博行 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (30016612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹本 稔 神奈川工科大学, 工学部, 講師 (70288215)
中野 裕美 龍谷大学, 理工学部, 実験講師 (00319500)
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Keywords | 誘電体物性 / セラミックス / 移動体通信 / イオン結晶 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
主に取組んだのは次の擬2成分系である:(1)(Ba_<1-x>Ca_x)(Sc_<1/2>Nb_<1/2>)O_3、(2)(Ba_<1-x>Sr_x)(Sc_<1/2>Nb_<1/2>)O_3、(3)(Ba_<1-x>Ca_x)(Sc_<1/2>Ta_<1/2>)O_3、(4)(Ba_<1-x>Sr_x)(Sc_<1/2>Ta_<1/2>)O_3。なお、(Sr_<1-x>Ca_x)(Sc_<1/2>Nb_<1/2>)O_3系は想定外の事情により研究が出来なかった。このうち(1)は申請者ら従来の結果を確認することにより信頼性を向上した。加えて、申請者らを含み既に蓄積のある化学組成と誘電特性との関係を、(2)〜(4)組成系についても確認した。 (A_<1-x>A'_x)BO_3(A,A'=Ba,Sr)のイオン置換系でA,A'=Ba,Caの時、比誘電率と共振周波数温度係数が両端点を結ぶ線形則からの逸脱が最も大きい。A,A'=Ba,Srの時、前記線形則からの逸脱は軽微である。これらに対応してQf値はA,A'=Ba,Caではxが0.1以下で壊滅的に急減するが、A,A'=Ba,SrでのQf値の減少は前者より顕著に小さい。さらに、例えば(1)と(3)の比較で判明するNbとTaとについて、Nbを含む組成系の方が比誘電率は大きいがQf値が小さくなることを確かめた。 なお現時点では誘電特性との関係は不明であるが、組成系(1)の際立つ特徴である全域固溶に関係する、特異な微細組織の観察に成功した。即ち、Scを含まない(Ba_<1-x>Ca_x)(BB')O_3系ではx=0.25程度が固溶限界であるが、組成系(1)においてはx=0.25程度の前後で微細組織が顕著に異なることが明らかになった。xがそれより小さい範囲では一般的な焼結体の組織である。しかし、xがそれより大きいと粒子径が急減し、実体はまだ不明であるが、観察者に不安感を持たせる不均一な微細組織へと変化する。
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