2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560671
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 博 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (50272167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉崎 亮造 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (70011137)
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Keywords | 酸化物蓄冷材 / ペロブスカイト構造 / 置換効果 / 低温比熱 |
Research Abstract |
本研究では金属間化合物や鉛に対して安価で製造が簡単な酸化物磁性体による高性能な蓄冷材の開発を目的としており本年度の研究計画として1.高品質酸化物蓄冷材試料の作製と、物性測定を掲げた。本年度の研究計画では磁性酸化物に注目し、蓄冷材として満たすべき条件として(1)低温において比熱が大きいこと(2)熱伝導率が高いこと(3)加工性の良いこと(4)化学的に安定なこと(5)原料価格が安いことを念頭におき次の実験を行った。ABO_3ペロブスカイト構造を持つ酸化物蓄冷材の開発を行った。酸化物蓄冷材の作製に使用したのは高性能3ゾーン電気炉(0.2℃/200mm)及び磁化率測定用の直流磁化率軌定装置(DC SQUID)、標準物質として高温用にPb、低温用にEr_3Niを使用して、新たに作成した酸化物磁性体と冷却性能試験の比較を行った。特に蓄冷材の性能が顕著に影響する20K以下については注意深く行った。 具体的には高品質酸化物蓄冷材試料の作製、Aサイト置換効果の測定、Bサイト置換効果の測定、X線回折装置による試料評価の測定、直流磁化率測、低温比熱の測定、冷却性能試験を行った。 作製した試料としては、液体水素温度である20K付近で磁化の値が大きく変化する試料を選択し、さらにその中から、大きく分けて2種類のRCoO_3とRMnO_3(Rはrare earth)のペロブスカイト構造の酸化物を作製した。RCoO_3系として、Nd_<0.5>Sr_<0.5>CoO_3、Gd_<0.7>Sr_<0.3>CoO_3、Er_<0.7>Sr_<0.3>CoO_3、Pr_<0.7>Ca_<0.3>CoO_3を作製し、さらにPr_<0.7>Ca_<0.3>CoO_3の置換物質として(Pr_<0.8>Nd_<0.2>)_<0.7>Ca_<0.3>CoO_3、(Pr_<0.8>Er_<0.2>)_<0.7>Ca_<0.3>CoO_3、(Pr_<0.8>Ce_<0.2>)_<0.7>Ca_<0.3>CoO_3、Ce_<0.7>Ca_<0.3>CoO_3を作製した。一方、RMnO_3系としてEuMnO_3、HoMnO_3、NdMnO_3、Sm_<0.56>Sr_<0.44>MnO_3、Pr_<0.65>Ca_<0.3>MnO_3を作製した。 作製した試料の中でRCoO_3系のGd_<0.7>Sr_<0.3>CoO_3とRMnO_3系のHoMnO_3については5Kから10Kでの比熱がPbに比べて大きくこの温度領域において酸化物蓄冷材として有望であることを見出した。今後はAサイトとしては希土類元素の磁化の大きいものを対象としてBサイトについては3価元素置換を行う予定である。また、冷凍機による実機での冷却試験を行う予定である。
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