2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560683
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
澤口 孝宏 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料ラボ, 主任研究員 (30354161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 一行 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料ラボ, 主幹研究員 (60370318)
長島 伸夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主任研究員 (30354252)
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Keywords | 制震 / 減災 / 内部摩擦 / 形状記憶合金 / 電子顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / 国際情報交換 / インド |
Research Abstract |
Fe-28Mn-6Si-5Cr-0.53Nb-0.06C (mass-%)形状記憶合金(Fe-SMA)を溶体化処理または加工熱処理することにより、それぞれ、固溶Cまたは微細なNbC炭化物を含む状態として、擬弾性、内部摩擦および低サイクル疲労特性を測定した。微細NbCは応力誘起ε相の核生成サイトとなることにより、形状記憶特性を改善することが既にわかっている。Fe-SMAは次に示す二タイプの擬弾性を示すことがわかった:1)A_s点以上M_d点以下の温度範囲において変態擬弾性を示す、2)室温で数%引張変形を施すと、応力誘起εと母相γの可逆的界面運動に起因する擬弾性を示す。NbC析出型合金はM_d点が高く、C固溶型合金よりも大きな擬弾性を示した。Fe-SMAはひずみ振幅依存型の内部摩擦を示すことも判明した。内部摩擦はひずみ振幅が10^<-4>以上になると急激に上昇する。また、応力誘起ε相は内部摩擦を上昇させることも判明した。NbC析出型合金の方がC固溶型よりも変形による内部摩擦の上昇がわずかに高かった。しかし、同様の対比実験を、二元系Fe-17Mn制振合金をベースにC固溶型とNbC析出型を作製して行ったところ、変形の有無にかかわらず、NbC析出型合金はC固溶型よりも低い内部摩擦を示した。低サイクル疲労試験の結果、Fe-SMAを繰り返し引張圧縮塑性変形するとγ/ε界面が可逆的に運動することもわかった。この性質を利用して、従来の制振合金よりも大ひずみで振動を吸収することが可能となる。C固溶型は繰り返し加工硬化が極めて小さいこともわかった。以上の結果および組織観察により、微細NbCは、ε相の核生成サイトとなってε板を微細化させることにより、形状記憶特性や変態擬弾性などの静的界面運動の可逆性は向上させるが、内部摩擦、大ひずみ振動吸収などの動的界面運動は妨げることが判明した。
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