2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560684
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
篠原 嘉一 National Institute for Materials Science, 材料ラボ, グループリーダー (70343853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 義雄 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料ラボ, 主幹研究員 (40354138)
磯田 幸宏 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料ラボ, 主幹研究員 (80354140)
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Keywords | 高分子 / 熱電特性 / ポリチオフェン / 有機合成 / ゼーベック係数 / 導電率 |
Research Abstract |
導電性高分子の導電率は、キャリア濃度以下に、直接的には単位体積当たりの主鎖の占有率、配向性、主鎖の直線性(主鎖分子配向の異方性)に大きく支配される。ポリチオフェンの場合は、分子鎖間伝導機構も大きなポイントとなる。温度によって伝導機構が変化する現象を見いだした。温度と共に最近接間ホッピングから3Dのバリアブルレンジホッピングへと変化しており、キャリアの運動エネルギーが主鎖間を飛び移るのに必要なエネルギーを上回ると、ホッピングサイトが急激に増加することを示している。 次に、主鎖分子配向と熱電特性の関係を検討するために、側鎖にメチル基を有するメチルチオフェンを原料としてポリメチルチオフェンを電解重合により合成し、主鎖分子配向との関連において、熱電特性との関係を検討した。原料としてメチルチオフェンモノマー、溶媒としてニトロベンゼン、電解質としてテトラnブチルアンモニウム、陽極にはITOまたはカーボン乱陰極にはニッケルを用いた。電解重合により合成したポリメチルチオフェンはポリチオフェンよりも主鎖配向性が比較的高く、250S/cmの導電率が得られた。しかしゼーベック係数は20μv/Kとポリチオフェン(〜25μv/K)よりも小さく、熱電変換効率が数十%小さくなった。そこで主鎖間のキャリア移動機構とゼーベック係数の関係について基礎的検討を行った。その結果、ポリメチルチオフェンの主鎖間キャリア移動機構として支配的なバリアブルレンジホッピングでは、ポリチオフェンにおいて認められる最近接間ホッピングよりもゼーベック係数が小さくなる傾向が認められた。この結果は、最近接間ホッピングが熱キャリアのエネルギーフィルタリング効果を有することを示唆しており、伝導機構による熱電特性制御として大変興味深いといえる。
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Research Products
(7 results)