2007 Fiscal Year Annual Research Report
陽極接合の原理を応用した導体/ガラスの新接合法の開発
Project/Area Number |
18560695
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 誠 Osaka University, 接合科学研究所, 助教 (10294133)
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Keywords | はんだづけ / ガラス / 鉛フリーはんだ / 陽極接合 / イオン伝導 / 界面反応 |
Research Abstract |
昨年度の研究によって,鉛フリーはんだの成分として一般的な銀,銅の,電圧印加によるガラスへの侵入が,陽極はんだづけで得られるガラス/金属継手の性能に影響を与えることが明らかになった.そこで,陽極接合の手法を応用して,これらの元素のガラス中での移動度の測定を行った.結果,銀の移動度は銅の移動度と比べ大幅に大きいこと,いずれの移動度も温度上昇と共に増加するが,銅の移動度の温度変化の割合は銀のそれと比べて大きいことが明らかになった. 同じく昨年度の研究によって,接合前からはんだ表面に存在する,また接合中に接合界面に形成されるスズ酸化物が得られる継手の性能に大きく影響していることが示唆された.スズの酸化物は強固な被膜を形成するが,それと比べてスズのハロゲン化物は融点が低く被膜の形成能が低い.そこで,接合前にはんだ表面をハロゲン化水素にさらして,表面酸化物をハロゲン化して被膜を破壊することによる陽極はんだづけへの影響を調査した.純スズのはんだを接合前に常温で180s塩化水素にさらすと,ガラス/金属界面でのはんだの濡れ広がりは著しく改善された.加熱のみで電圧を加えなかった継手のせん断強度は極めて低かったが,高温下ではんだ/ガラス間に電圧を加えると得られた継手の強度は大幅に向上した.しかし,いずれの継手でも破断ははんだ/ガラス界面で進行した.はんだを塩化水素で処理し,接合中に電圧を加えた継手のせん断試験後のガラス側破面上には,白い反応生成物が付着しているのが観察された.これは,塩化水素処理で密着が促進されたはんだ/ガラス界面に,電圧印加によって新たに形成されたスズ酸化物がガラス表面に残存したものと考えられる.
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