2006 Fiscal Year Annual Research Report
コバルトリッチクラストを原料とした新コバルト製錬に関する基礎研究
Project/Area Number |
18560709
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山口 勉功 岩手大学, 工学部, 助教授 (70220259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藏 隆彦 秋田大学, ベンチャービジネスラボラトリ, 教授 (00400523)
植田 滋 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80359497)
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Keywords | コバルトリッチクラスト / 製錬 / 状態図 / スラグ / 不純物分配 |
Research Abstract |
日本の近海から採取されるコバルトリッチクラスト(マンガン団塊の一種で、酸化物の形態で存在)を原料としたコバルト製錬が注目されている。その製錬方法の一部として、コバルトリッチクラスト中の酸化コバルトを還元し、溶鉄中にFe-Co合金として濃縮すると共に、クラスト中のMn成分をスラグとして除去する還元溶錬が検討されている。そこで本研究では還元熔錬処理の基礎として、1823Kにおける、溶融鉄-スラグ間のコバルトとリンの分配挙動を調べた。 実験はCaO-MnO-SiO_2系スラグと溶鉄間のリンとコバルトの分配挙動を調べる目的で、MgOルツボにCaO-MnO-SiO_2系スラグ8g、電解鉄7gと全量に対してリンとコバルトを約1%になるようにFe_3P化合物と金属コバルトを入れ、1823Kで1時間、溶融保持した。融体間の平衡を図った後、系の酸素ポテンシャルをZrO_2固体電解質を用いた酸素センサーで測定した。酸素ポテンシャルを測定後、アルゴンガスを吹き付けて試料を急冷した。スラグ中の各成分濃度をICPによる化学分析により定量した。 実験の結果、スラグと溶鉄間のリンの分配比は0.005〜0.1程度の値をとり、リンはスラグに比べ溶鉄中に多く分配される。若干ではあるが、酸素分圧の増加に伴い、分配比が大きくなる傾向がある。また、酸素分圧を一定とした場合、リンの分配はスラグ中の塩基度の増加に伴い大きな値を示す。リンの酸化物は酸性酸化物であるため、スラグ中の塩基度が増加するにつれてリンは中和反応により塩基度の高いスラグへ濃縮されると考えられる。スラグと溶鉄間のコバルトの分配比は0.001〜0.003程度の値をとり、コバルトはスラグに比べ溶鉄中に濃縮されやすいことがわかる。酸素分圧を一定とした場合、コバルトの分配はスラグ中の塩基度の増加に伴い若干大きくなる。
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Research Products
(1 results)