2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規な合成法による再生可能な環境有害物質吸着剤の開発
Project/Area Number |
18560723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 健彦 広島大学, 大学院工学研究科, 助手 (10274127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯澤 孝司 広島大学, 大学院工学研究科, 助教授 (60130902)
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Keywords | 感温性高分子 / リン酸 / 吸着・脱着 / 多孔質ゲル / N-イソプロピルアクリルアミド / イオン性高分子 / pH応答 / 再資源化 |
Research Abstract |
感温性成分のN-イソプロピルアクリルァミド(NIPA)とカチオン性成分のN,Nジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)を共重合したpH,温度応答性ゲルを作製し、1)NIPA-DMAPAA共重合ゲルの組成がリン酸の吸・脱着特性に与える影響、2)外部溶液のpHがリン酸の吸・脱着特性に与える影響、3)pHおよび温度変化によるリン酸の吸・脱着機構について検討を行った。 1)ゲルの組成とリン酸の吸・脱着特性の関係を検討した結果、DMAPAA共重合率が高い方が吸着量は多く、共重合率が低い方が脱着率は増加することが判った。これは共重合率が高くなると吸着サイトが増加し、共重合率が低い方とアミノ基の量が少なくアルカリ溶液の影響を受けやすく脱着が容易になったためと考えられる。 2)外部リン酸溶液の初期pHとリン酸の解離状態が吸着量に与える影響を調べた結果、pHが低くなるにつれて吸着量は増加することが判った。これはpHの高い場合はアミノ基のイオン化が抑制されリン酸イオンとの相互作用が弱くなることや、アミノ基と二対一で吸着する解離状態が二価のリン酸の比率が高かったために吸着量が少ないのに対し、pHが低い場合はアミノ基のイオン化が起こりやすく有効に働く吸着サイトが多いことや、アミノ基と一対一の状態で吸着できる解離状態が一価のリン酸の比率が高かったため吸着量が多くなったと考えられる。 3)pHと温度を変化させて脱着を行った結果、脱着液のpHが高くなるにつれて脱着量は多くなることが判った。これはpHが高い方がアミノ基のイオン化が抑制されることと、リン酸の解離状態が一価から二価に変化することで脱着が促進されたためと考えられる。脱着液のpHが11の場合、pHの変化で吸着量の約4割が脱着し、さらに温度を上げてゲルを収縮させることによって脱着が促進し、全体として約8割のリン酸が脱着することが確認された。
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