2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560725
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
船造 俊孝 Chuo University, 理工学部, 教授 (60165454)
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Keywords | 拡散係数 / ガス膨張液体 / 高圧 / 輸送物性 / 相関式 / 超臨界 |
Research Abstract |
本年度は動的光散乱装置(DLS)を用いたCO2膨張液体中の各種ナノ粒子の拡散係数測定、過渡応答法による超臨界CO2中の金属錯体の拡散係数測定、超臨界流体から高圧液体までの広範囲な条件下における拡散係数推算のための相関式作成を行なった。 DLSによる測定では、用いた各種ナノ粒子はタンパク質(カゼイン)、表面を修飾した金粒子、銀粒子、そしてポリスチレンを、また、有機溶媒として、ヘキサン、メタノール、エタノールのCO2膨張液体を用いた。CO2膨張メタノール中のポリスチレン、カゼイン粒子、金粒子、CO2膨張ヘキサン中の金粒子はCO2モル分率が高くなると膨潤、凝集したが、ある圧力以下では粒径は安定であった。このとき、拡散係数は圧力の増加とともに増加した。さらに、CO2モル分率が0,4-0.6を超えるあたりから急激に膨潤、凝集を起こすことがわかった。CO2モル分率の増加に伴い、CO2膨張液体の密度や粘性は急激に変化するわけではないが、凝集はCO2モル分率が0.5付近で急激に始まった。現時点でこの原因は不明であるが、粒子間の相互作用の急激な変化はガス膨張液体の溶液構造の理解に不可欠で、この原因の解明が今後の課題である。 超臨界CO2中の金属錯体の拡散係数の測定では、金属錯体においても流体力学相関式(D/Tが溶媒粘度の指数乗)とする式で拡散係数Dが表せ、他の有機化合物の拡散係数と同様な挙動を示した。また、DLSによる各種ナノ粒子の拡散係数値も、凝集や膨潤が起こらない領域では同じく流体力学相関式で表せた。よって、超臨界CO2および各種有機溶媒中における有機化合物の拡散係数の文献値について流体力学相関式を求め、決まった溶質ごとに、超臨界状態や液体状態、溶媒の種類によらず、一つの相関式で表されることを示した。
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Research Products
(14 results)