2007 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ゲル複合水晶振動子を用いた生体分子認識・情報化デバイスの開発
Project/Area Number |
18560729
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清田 佳美 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 連携准教授 (60216504)
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Keywords | 高分子ゲル / 生体分子 / 分子認識 / センサー / 刺激応答 / 水晶振動子 / 抗原抗体反応 / デバイス |
Research Abstract |
本研究では,生体分子や特定有機分子と選択・特異的に相互作用・反応する分子をハイドロゲルの高分子鎖ネットワーク中に導入したマイクロサイズの極微量ゲルを創世し,これを水晶振動子マイクロバランスと複合化した分子認識・センシングシステムとその応答特性について検討することを目的としている。導入する分子の反応(ゲスト分子との相互作用・結合・反応)をトリガーとしてゲルネットワーク全体の水和構造・粘弾性変化を誘発し,かつ,ネットワークの全体的な相変化により情報増幅し,この変化を水晶振動子を用いてセンシング・電子情報に定量変換・情報化する高感度分子センシングシステムを開発することを目指した。 牛血清アルブミンをゲルネットワークに導入したマイクロ量のゲルを水晶振動子上に合成したデバイスを作製し,ゲルの粘弾性に及ぼす外部環境条件,ターゲット分子吸着の影響について水晶振動子マイクロバランスの発振振動数変化及び粘性パラメータ変化をモニタリングすることによって観測した。アルブミンに抗アルブミン抗体が吸着することにより,水晶振動子の発振振動数変化および粘性パラメータが大きく変化すること,この変化は温度に敏感であることを確認した。1%以下のアルブミン導入のゲルにおいても水晶振動子の発振振動数と粘性パラメータを指標として,高感度かつ容易に抗体の吸着をセンシング可能であることを把握した。得られる発振周波数と粘性パラメータ情報データを画像解析によりスペクトル解析した。抗体吸着前後の発振振動数と粘性パラメータの温度依存性曲線を離散フーリエ変換によりスペクトル分解して複素フーリエ係数を算出し,これをもとに電力スペクトルを算出した。差スペクトルから抗体吸着に伴う水晶振動子の応答を抽出することにより,相変化するゲルの抗体吸着にともなうシグナルのみを抽出,分子センシングすることが可能であるとわかった。一連の研究により,本課題で提案したゲルの相変化を利用する分子センシングが原理的に実現可能であることを明らかにした。
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Research Products
(9 results)