2006 Fiscal Year Annual Research Report
水晶振動子法と多成分系有機物吸着汚染モデルによる表面吸着分子間相互作用測定法研究
Project/Area Number |
18560730
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
羽深 等 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40323927)
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Keywords | 水晶振動子 / 有機物分子 / 吸着 / 脱離 / 速度定数 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
シリコン表面における有機物分子の吸着・脱離過程において、表面との相互作用、吸着分子同士の相互作用を速度論的視点から測定・評価する方法を検討し、それを用いて挙動を予測できる技術を開発することを目的とする。 平成18年度において本研究では、シリコン表面とそこに吸着する分子、特に水、イソプロパノール(IPA)、フタル酸ジエチル(DEP)の三成分系において得られる吸着速度定数、脱離速度定数から分子間の相互作用に相当する項を抽出して数値化し、それを用いて分子間相互作用を測定する方法を考察した。 平成18年度は、下記の(1)〜(4)を中心に行い、分子間相互作用評価手法の妥当性を検討した。 (1)クリーンブース、水晶振動子(QCM)など必要とする測定環境設備・機器の拡充を行った。 (2)単成分吸着脱離の測定 QCM表面に水分子を吸着させ、定常状態に到達したことを確認した後、イソプロパノール、フタル酸ジエチルの蒸気をそれぞれ単独に与え、その吸着、脱離速度を測定した。その挙動から吸着速度定数、脱離速度定数を求めた。 (3)2成分系の吸着脱離の測定、および数値解析 QCM表面に水分子を吸着させ、定常状態に到達したことを確認した後、IPA及びDEPの混合蒸気を与え、合計の吸着と脱離の速度を測定した。その挙動を他成分系有機物吸着汚染モデルを用いて数値計算により解析した。ここで得られた吸着脱離挙動が、(2)において求めていた単成分有機物系の吸着・脱離速度定数を用いて表現できること、有効最大吸着量が気相における有機物の組成に応じて変化する可能性を見出した。これにより、定量的に挙動を再現できたことから、IPAおよびDEPの間には、場所を奪い合う(他者を物理的に排除する)以外には顕著な分子間相互作用がないものと考えられる。今後は、有効最大吸着量の物理化学的意味を解釈すること、有機物の種類を増やして分子間相互作用の評価を進めることを計画している。
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