2006 Fiscal Year Annual Research Report
高温溶融塩スラリーによる炭酸ガス脱吸収に関する基礎研究および反応装置開発
Project/Area Number |
18560735
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺坂 宏一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00245606)
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Keywords | 炭酸ガス / 高温溶融塩 / スラリー気泡塔 / リチウムシリケート |
Research Abstract |
高温で液化した炭酸リチウムーカリウム共晶溶融塩中に、リチウムシリケート微粒子(以下LS)を懸濁させた循環スラリー気泡塔による炭酸ガス吸収および放散挙動の基本設計データを取得することを目的として、本年度下記に示した研究を行った。 1.CO_2気泡の溶融塩スラリーへの溶解現象の解明 高温反応容器内にLi-K-CO_3共晶塩とLS微粒子を仕込み昇温し、溶融塩スラリー中に20%CO_2を含んだ窒素ガスを供給した。このとき、LS量および溶融塩のKとLiの組成を変化させた場合に生じるCO2吸収量を観測した。出口ガス中CO_2濃度をリアルタイムで観測した。排気ガス中のCO_2濃度の時間変化よりCO_2の最大吸収速度および最大吸収量の測定を行った。吹き込むガスの流量、溶融塩組成およびスラリー濃度をパラメータとして、各条件においてガス吸収挙動の変化を調べた。 2.溶融炭酸塩中に懸濁したLSからのCO_2の放散挙動の解明 LS粒子懸濁スラリーを、CO_2放出温度域まで加熱した際に、析出されるCO_2の挙動を調べた。CO_2放出速度に及ぼすパラメータとしてスラリー中のLS量、設定温度および加熱速度などの影響について実験的に調べた。予め吸収したCO_2が放出され、逆反応によりLSが再生される際には、炭酸リチウムが必要である。炭酸リチウムは液化して溶融塩中に存在しているので、本反応では炭酸リチウム分子の溶融塩液相内での移動速度かあるいは熱移動速度のどちらが律速となるかを解析した。現時点では物質移動律速である可能性が高いと推定された。 3.循環スラリー気泡塔内の流動・吸収特性の解明 本実験では塔内のLSスラリーおよび気液の流動状態を推定するためにコールドモデル実験を行った。LSのモデル粒子として約1ミクロンのPVC微粒子、溶融塩液相としては界面活性剤を添加した水溶液を用いた。循環系のスラリー気泡塔を製作し、ガスホールドアップや液循環速度などを測定した。CO_2の脱吸収を1つの気泡塔内で行う場合には、LSからのCO_2の脱離が重要なパラメータであることがわかった。
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