2007 Fiscal Year Annual Research Report
メソポーラスシリカ担持金属ナノ粒子触媒による選択酸化反応
Project/Area Number |
18560737
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福岡 淳 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 教授 (80189927)
|
Keywords | メソポーラスシリカ / ナノ粒子 / 選択酸化反応 / 白金 / 鋳型合成 / 燃料電池 / 水素 / PROX反応 |
Research Abstract |
本年度は、メソポーラスシリカ内金属ナノ粒子による水素中の一酸化炭素選択酸化(PROX)反応の詳細な機構研究と、オレフィン酸化反応における活性評価を行った。メソポーラスシリカFSM-16に合成した自金ナノ粒子触媒上にCOを吸着させると、気相中にCO_2が少量生成することが赤外分光測定で分かった。酸素源としては担体か吸着水が考えられるが、本触媒は水性ガスシフト反応には低活性なので、吸着水との反応ではなく担体の酸素が取り込まれている可能性が高いと推測した。これを検証するために、同位体トレーサー法を用いて検討した。まず、気相COに重酸素(^<18>O_2)を加えると二酸化炭素の生成が増加するが、^<18>Oは取り込まれずC^<l6>O_2が生成した。さらに気相中に重水素(D_2)を導入してPROX条件(CO+^<18>O_2+D_2)にしても、C^<16>O_2生成が増大し二酸化炭素中に^<18>Oは含まれなかった。以上の結果から、D_2と^<18>O_2から標識された水(D_2^<18>O)ができてCOを攻撃する機構ではなく、^<16>O源として担体の酸素がCO酸化に使われることが示唆された。従って、担体上の表面OH基が白金上のCOを攻撃して二酸化炭素と水素を生成する機構であると結論した。また、PROX反応触媒中における白金担持量の低減化を試みたところ、空間速度などの反応条件の最適化によって白金量を0.5〜1重量%にしてもCO完全除去が可能であることを見いだした。 さらに、メゾポーラスシリカ内に白金、パラジウム、銀のナノ粒子をそれぞれ合成し、エチレンの酸化反応を室温から200℃で検討した。酸素の転化率は100%であったが、エチレンは完全酸化によりCO_2となり、エポキシドなどの有機化合物の生成は認められなかった。従って、選択酸化のためには系中で過酸化水素を発生させる助触媒が必要であると推論した。
|