2008 Fiscal Year Annual Research Report
固体酸化物形燃料電池用Ni-セリア固溶YSZアノードの触媒および電気化学特性
Project/Area Number |
18560738
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹口 竜弥 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 准教授 (30227011)
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Keywords | SOFC / CeO_2-Y_2O_3-ZrO_2固溶体 / 炭素析出 / Niサーメット / メタン / 内部改質 |
Research Abstract |
NiO-CeO_2-YSZナノ粒子サーメットの調製法を検討した。ディスクへのアノードを塗布する方法について最適化を行った。具体的には、サーメットの調整法の改良を、SEM・TEMを用いた観察、SOFC発電実験、インピーダンスダンス測定により行った。それをフィードバックするサイクルを繰り返すことにより、800℃程度の温度域でも、水蒸気/炭素=1.2程度で安定にSOFCの発電が継続することを確認した。そこで、その技術を通常の8YSZにフィードバックした。グリコサーマル法により8YSZを合成した。合成した8YSZに、Niを含浸担時することで、SOFCで代表的なアノードであるNi/YSZを調製した。Ni/8YSZの調製の際、8YSZ担体の焼成温度を、焼成なし、600℃焼成、1000℃焼成と変えてNiを含浸担持した。調製した各Ni/8YSZアノード(Ni/8YSZ-non,Ni-/8YSZ-600およびNi/8YSZ-1000)の炭素析出速度、TPR測定および、発電性能の測定を行った。炭素析出速度は、Ni/8YZ-non>Ni/8YSZ-600>Ni/8YSZ-1000の順で抑制された。これは、TPRにて測定したNiと8YSZの相互作用の強い順に対応した。この相互作用の違いは、8YSZの焼成温度の違いによる表面水酸基の量ではないかと考えられる。このことから、8YSZの表面水酸基の量の制御を行い、Niと8YSZの相互作用の制御を行うことで、炭素析出の抑制につながると考えられる。発電性能は、燃料にH_2を用いたときもCH4を用いたときも、各アノード間でほとんど違いが見られなかった。このことより、アノード触媒の水蒸気改質の触媒活性と電気化学触媒活性には、Niと8YSZの相互作用は影響しなかったと考えられる。グリコサーマル法を用いて表面水酸基を多く持ったYSZを合成し、Niを担持してNi/YSZとして用いると、炭素析出が抑制でき、発電性能も一定に保たれた。このことから、本研究を通じて、現在のSOFCのアノードの中で最も使われているNi/YSZについても有効な調製法を提示できたと考えられる。
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