2006 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性細菌由来タンパク質を基盤分子に用いた高耐久性人工酵素の創成
Project/Area Number |
18560753
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 洋 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00283151)
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Keywords | チトクロムc552 / ヘムタンパク質 / 好熱菌 / 人工酵素 / Thermus thermophirus / ペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的は、好熱菌Thermus thermophirus由来のヘムタンパク質、シトクロムc552(Cyt c552)を利用して、実用環境で利用可能な耐熱性の人工酸化酵素、殊にペルオキシダーゼ、カタラーゼを創生することである,前年(17年)度の予備実験では、ペルオキシダーゼ反応機構に基づくCyt c552への部位特異的変異導入で、Cyt c552が70℃の高温でも機能する耐熱性ペルオキシダーゼに改変可能であることを示したが、18年度の研究では、その際の反応機構、失活過程の解明に焦点を絞り、耐熱性ペルオキシダーゼの更なる長寿命化を目指した。その結果、酸化活性種が生成する際、活性中心の近傍に位置するチロシン45にラジカルが生成し、これが起点となってヘムの分解反応の進行することが明らかとなった。その後の実験で、このチロシン残基をフェニルアラニンに置換すると、活性はやや低下するものの、酵素活性の持続性が向上することがわかり、現在は酵素の活性と持続性の更なる向上に目指した研究を続けている。本研究の成果は、現在学術雑誌に投稿中である。 上述、酵素機構解明の過程では、ペルオキシダーゼ短寿命中間体の観測にも成功している。Compound 0と呼ばれるこの中間体は、これまで160Kでの凍結溶液中でしか観測することができなかったが、Gyt c552のもつ特異な疎水空間を利用することによって、室温での観測に成功した。また長寿命化により、これまで未知であったCompound 0の反応性を直接観測することにも成功しており、ペルオキシダーゼ反応機構でのMissing ringの一つを埋めることができた。本研究の成果は、発表論文(Ichikawa Y, Nakajima H, Watanabe Y, ChemBioChem)に掲載されている。 ほかにも、申請書に記載した「活性中心の人工錯体化」についても、タンパク質空孔内への有機金属錯体の固定に成功しており、学術雑誌2誌に掲載されている。(Ueno T, Nakajima H, Watanabe Y et al., Froc.Nat.Acad.Sci.USA ; J.Organomet.Chem.)
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